独自の理論を築いた社会学者・経済学者の高田保馬。今回の映画では高田の功績や人柄を描く

 小城市三日月町出身の社会学者・経済学者の高田保馬(やすま)(1883〜1972年)を描くふるさと映画が製作される。地元有志が実行委員会(江口尚久会長)を組織し、11月から町内を中心に撮影を始める。来年秋に上映会を開く予定で、郷土が生んだ偉人の功績や人柄を映像を通して広く伝えていく。

 高田は社会学・経済学で独自の理論を築いて「高田社会学」を打ち立て、文化功労者に選ばれた。歌人としても活躍し、佐賀県内の小中高校11校の校歌を作詞したことでも知られる。

 映画は、小城市の歴史や文化を伝え、市民の郷土愛を育むことを目的に有志が牛津、小城の両町で計3作を作っており、三日月町が舞台になるのは初めて。

 15日の実行委総会では、関係者が今後のスケジュールを確認した。企画会議を重ね、遺族や関係者にも取材してすでに脚本は完成。多方面で活躍した“スーパースター”としての高田ではなく、人生の迷いや戸惑いなど内面に迫り、家族や友人、地域との関わりも描いているという。

 実行委副会長で、高田保馬博士顕彰会会長の上野保明さん(78)は「高田先生の学問に対する真摯(しんし)な態度や家族に対する思いが、映画を通して子どもたちに伝われば」と期待。過去3作でもメガホンを取った田中正照監督(70)は「他の作品に負けないものができそう。上映会を大成功させたい」と意気込む。

 7月27日午後7時から、同市のドゥイング三日月で出演者のオーディションを開催する。さまざまな配役があり、実行委は地元の人を中心に広く参加を呼びかけている。個人や企業からの協賛も募っている。問い合わせは事務局、電話090(5721)4328。(古川浩司)