埼玉県久喜市のショッピングモール「アリオ鷲宮(同市久本寺谷田)」内の合同会社「エルダリゾートショッピングクラブ」は、買い物と運動を楽しむ「デイサービス」を始めた。県内では珍しい取り組みという。

 「エルダリゾート」の業務執行役員の太田貴之さんは、以前働いていた介護施設で、買い物を楽しむ利用者の姿が印象的だったことから「買い物ができるデイサービスを実現したい」とアリオ鷲宮に提案した。

 太田さんの申し出をアリオ側が前向きに受け止めた。協議を進め、デイサービスとは別に介護の相談窓口を設置することで実現にこぎつけた。太田さんは「行政では時間や曜日が限定されるが、モール内であれば、時間外、買い物ついでに気軽に立ち寄ってもらえる」と話す。

 「エルダリゾートショッピングクラブ」は昨年12月、アリオ鷲宮内にオープンした。午前と午後1日2回、送迎付き、デイサービスの一環として、「買い物リハビリ」を提供する。健康チェック、買い物、食事、休憩の時間があり、介護スタッフや看護師が見守る。

 太田さんは「買い物で3千〜3500歩は歩く。運動機能の回復、認知症予防、外出することで人や社会とのつながりができ、社会参加につながる」と買い物の効果を強調する。

 利用者の女性はモール内のスーパーまで移動し魚、生鮮食品を選び、太田さんや看護師らと語らいながら買い物を楽しんでいた。

 ショッピングモールでの新たな介護サービス。太田さんは利用者のニーズは高いと感じる一方、PRやケアマネジャーら福祉の専門家への理解を広げるのが課題と指摘する。エルダリゾートという名称は、高齢者が楽しんでもらえる場所という意味。

 太田さんは「利用者の満足度は高い。心と体が元気になり日常の生活に笑顔が増えれば」と話している。