キャベツとブロッコリーの卸売価格が天候不順などの影響で高騰している。農林水産省の調査によると、国内の主要卸売市場の18日時点の平均価格は、前年の同日に比べてキャベツが約2・5倍、深谷市が産地として全国的に知られるブロッコリーは約2倍となっており、家計に響きそうだ。農水省の関係者は「今後、出荷量が増え、徐々に価格が落ち着いてくるのではないか」との見方を示した。

 ブロッコリーは深谷市が市町村別の作付面積で全国1位(2020年度)を誇るなど、産地として知られる。JAふかや南部野菜協議会洋茎菜部会長の須藤勤治さん(76)は「今年は暖冬や病気などの影響で、通常より出せる量が少なかった」と語った。

 農水省はブロッコリーを国民に必要な野菜として、26年度に指定野菜に追加することを決めた。指定野菜の追加は1974年のジャガイモ以来で52年ぶり。政府が指定した地域で生産し、市場価格が過去の平均に比べて大きく下回った場合、補助金を出すことで安定供給につなげる。

 同市の全農さいたま北部総合センター園芸販売課の小峯篤さんは「香川県や愛知県などの産地で、4月の長雨の影響で出荷量が半減したことが価格高騰に影響した。先週木曜日あたりから下がり始めているので、食卓に並ぶ機会がまた増えてくるのでは」と話す。県内産のブロッコリーは4月中に大半を出荷済みで、あと1週間程度で終了するという。

 さいたま市北区の青果店「マルサングループ宮原店」では21日時点でキャベツ、ブロッコリーともに1玉258円(税別)で販売。栗原誠店長は「ブロッコリーは一時、原価が200円を超えたが、ここ数日で少し落ち着いてきた」と安堵(あんど)の様子。原価が400円を超えることもあり、赤字覚悟の350円程度で販売したが、「高すぎて全く売れなかった」という。

 ブロッコリーはビタミンやミネラルが豊富で、がんなどの予防作用があるとされ、人気が広がった。筋力増強にも効果があるとトレーニングに励む人々からも注目を呼ぶ。

 須藤さんは「今は産地リレーがうまくいっていないが、これから落ち着いてくるのではないか」と話していた。