埼玉県川口市内のマンションでベトナム国籍の男性が殺害された事件で、川口署特別捜査班は21日、殺人の疑いで、同国籍の住居不定、無職の男(30)=入管難民法違反罪で起訴=を再逮捕した。

 再逮捕容疑は4月29日午後9時ごろ、川口市朝日6丁目地内のマンション4階の踊り場で、このマンションに住むベトナム国籍の土木作業員の男性(33)を刃物で刺すなどして殺害した疑い。「私は何も知らない」と容疑を否認しているという。

 県警によると、男は同日、さいたま市大宮区の友人宅から電車やバスを使って男性が住むマンションへ向かい、待ち伏せ。帰宅してきた男性を刺した後に、JR川口駅周辺でタクシーに乗り友人宅に戻ったという。男性の上半身には複数の刺切創があり、司法解剖の結果、死因は胸部刺創による失血だった。

 男は事件翌日の同30日、入管難民法違反(不法残留)の疑いで県警に逮捕され、その後起訴された。防犯カメラの精査から男が男性の殺害に関与したと特定した。男は2019年に技能実習生として入国。過去に三重県での居住実態が確認されており、県警は関係先の捜索差し押さえを実施したという。

 県警は関係者の話などから、男と男性の間に何らかのトラブルがあったとみて、詳しい経緯を調べている。