中小企業診断士でITコーディネーターの澤村誉さん(53)=秋田市中通=が、北秋田市阿仁水無にある築119年の「旧宮越商店」の建物を取得し、保存と利活用に向けて動き出した。澤村さんは「さまざまな特徴と歴史がある貴重な建物。古民家としての良さを生かし、ここで事業を起こすことで残していきたい」と話す。

 郷土資料などによると、宮越商店は江戸時代、産銅日本一を誇った阿仁地域に加賀藩(現在の石川県)から移ってきた宮越家が営んだ。コメや計量器などの専売品を扱う「よろず屋」として北前船交易で栄え、明治以降は呉服商や山林経営、金融業も手がけた。通りに面した庭の桜は「宮越のシダレザクラ」と呼ばれ、毎年春に美しく咲く様子が地元で親しまれている。