たくさんの古着屋が並ぶ高円寺。20年以上前から古着店は多かったが、ここ数年の古着ブームを追い風にどんどん新しいお店が増えている。老舗から新しい店まで個性派揃いの店をご紹介!
世界に誇る異世界ブティック!作家の個性が光る1点ものも。『はやとちり』

2008年にオープン。店主の後藤慶光(ごとうよしひこ)さんは、最初将棋の駒を使ったピアスなどを作っていたところ、将棋の勉強を初めてどハマり。熱心な勉強の結果、初段まで獲得し、将棋の駒をデザインしたオリジナルのMA1ブルゾンまで作るというハマりっぷりだ。
現在『はやとちり』で販売されている商品は、日本の古着が半分。残りは後藤さんのオリジナルブランド「ラッキー大吉」と国内の作家7人、シンガポールとイギリスに住む作家3名ほどが手がける服や帽子、バッグなどがある。特に作家ものは、唯一無二のデザイン、色使いに目を奪われる。「服の作り方が独特なものが好きなんですよ。作る人のおもしろさが出ていると思います」と店主の後藤さん。異空間のような店内で、ふと手にしたアイテムが、作り手の思いや素材の背景に共感できる出会いになる。そんなことを期待して訪れてみたい。

『はやとちり』店舗詳細
はやとちり
住所:東京都杉並区高円寺北3-4-11 キタコレビル/営業時間:平日15:00〜20:00 土日祝13:00〜20:00/定休日:水・木/アクセス:JR中央本線高円寺駅から徒歩3分
世界のプロも認める希少性!アメリカ1930〜60年代のアイテムが揃う『Suntrap』

1998年のオープン当時から高円寺の古着文化の一端を担ってきた『Suntrap』。奥行きのある店内に足を踏み入れると、たくさんのシャツやジャケットがハンガーにかけられ、棚にはセーターにパンツ、ピカピカに磨かれた革靴などが整然と並んでいる。引き出しやガラスケースにはデッドストックの靴紐、洋服と同年代に作られたボタン、マグカップなどの雑貨も並ぶ。1930年代から1960年代に作られた主に東海岸から買い付けてきた服はは洗濯したり、ボタンをつけるなど丁寧に直してから店に出している。
有名なファッションブランドのデザイナーたちが、洋服のアイデアを見つけようと訪れることもある、高円寺にありながら世界が認める古着店だ。

『Suntrap』店舗詳細
Suntrap(サントラップ)
住所:東京都杉並区高円寺南4-23-5ACPビル1F/営業時間:平日 13:00〜21:00、土日祝12:00〜20:30/定休日:無/アクセス:JR中央本線高円寺駅から徒歩5分
ポップな品揃えとナチュラルな店内『SHINTO』

『SHINTO』の品揃えは1990年代から2000年代のメンズ古着が中心。よくファッションのトレンドは繰り返されると言われるが、今若い世代は90年代から2000年代のファッションを取り入れている。
ミッキーマウスやトムとジェリーなど、懐かしさもあるキャラクターのプリントTシャツや、独特な色合いが興味深いヨーロッパのミリタリーアイテムなど、ポップなアイテムの品揃えも『SHINTO』の特徴だ。
天井から吊り下げられたドライフラワーも存在感を放っている。このドライフラワーはただのディスプレイではなく、オープンから1年ほど経ってから扱い始めた商品でもある。ドライフラワーがあることで店内にはやさしいナチュラルな雰囲気も漂い、足を踏み入れやすい。

『Shinto』店舗詳細
SHINTO(シント)
住所:東京都杉並区高円寺4-29-9 第3穴吹ビル1F/営業時間:13:00〜20:00/定休日:無/アクセス:JR中央本線高円寺駅から徒歩3分
大人の女性が長く着られるアイテムが揃う『SPOT』

『SPOT』を営むのは元エステティシャンの山口美穂さん。長く趣味として古着を愛用し、ときめくアイテムをコレクションしてきた。古着を買い集めるための海外旅行にも何度も出かけ、かつての同僚たちから「変わった服を着ているね」と言われることもあったそう。
店の前は人通りがそれほど多くない。なぜこの場所を選んだのかと聞くと「ゆっくり話しながら、服を見て、触って選んでもらいたいから」とのこと。
ディテールや質感はもちろん、体型をきれいに見せてくれるものを勧めたいと、女性の体に寄り添ってきた山口さんは考えている。流行のデザインよりも長く着られることを重視するのも方針のひとつだ。

『SPOT』店舗詳細
SPOT(スポット)
住所:東京都杉並区高円寺南4-40-22 1F/営業時間:13:00〜20:00 (短縮営業の場合〜19:00)/定休日:水/アクセス:JR中央本線高円寺駅から徒歩4分
オーナーの愛が詰まったカラフルな古着でハッピー!『古着屋 深緑』

『深緑』があるのは高円寺駅南口から徒歩3分ほどの小さな店あかりがいくつもある通りの2階。目印はオーナーのshogoさんが段ボールに緑のマジックで手書きした”看板”だ。オープンしたときに貼り付けて以来、もう何年もこのスタイルのまま(笑)。自由でワイルドなDIYを横目に階段を上がってドアを開けると色の洪水のような古着の数々が目に飛び込んでくる。
店のオリジナルアイテムにはオーナーがハマっている銭湯通いを反映。オリジナルの銭湯Tシャツ、TOTONOU(トトノウ)Tシャツは12のカラーバリエーション。フロントにプリントされた写真は「外国人観光客が銭湯でほっこりしている姿をイメージ」とのこと。

『古着屋 深緑』店舗詳細
古着屋 深緑(ふるぎや ふかみどり)
住所:東京都杉並区高円南4-24-4 2F/営業時間:13:00〜21:00/定休日:無/アクセス:JR中央本線高円寺駅から徒歩3分
安く流行を取り入れたいならここ。高円寺で20年以上の老舗『BoobyTRAP』

ルック商店街にある古着店『BoobyTRAP』は緑色のテントが目印。現在高円寺に3店舗を展開する古着店グループ「グラスホッパー」の1号店で、安く古着が買える店として知られている。代表の飯塚敏雄さん、通称サクさんが1998年に独立したときは新品の衣類を扱う店だったが、数年後に古着ばかりを扱うように。
バンドTシャツやスーツのセットアップ、たった100円のネクタイなど、品揃えの幅広さ、価格の安さのおかげか、お店にはさまざまな年代の人が立ち寄っていく。昼間は年齢層が高く、夕方になると若い世代が多いというのも『BoobyTRAP』の特徴だ。「高円寺は古いけどいいもの、安いけどいいものを欲しがる土壌があります。お金がない分、知識のある厳しいお客さんが多いんです」と街を長く見てきたサクさんは話してくれた。

『BoobyTRAP』店舗詳細
BoobyTRAP(ブービートラップ)
住所:東京都杉並区高円寺南3-37-23/営業時間:11:30〜20:00/定休日:無/アクセス:JR中央本線高円寺駅から徒歩5分
取材・文・撮影=野崎さおり