ローカルうどん筆頭といえば讃岐ですが、花のお江戸東京には、全国のうどんが集結。秋田の稲庭うどん、大阪のかすうどん、山梨の吉田うどん、長野のおしぼり汁うどんがいただける4店をピックアップしました。製麺方法も出汁も、トッピングも食べ方もガラリと異なる地方伝統のうどんを、ずずずっと食べ比べてみましょう!
まろやかな汁と なめらかさにゾッコン『稲庭うどん 七蔵』[新橋]

店主の葛西剛男さんは、旅先の田沢湖で食べたうどんにほれ込み、「天ぷら屋でしたが、うどん専門店になっちゃった」と笑う。稲庭町『後文』製のうどんはツヤツヤで、食せば舌触りツルリ。「秋田じゃすっきり出汁だけど、東京らしく」と、つけ汁はカモと鶏がベース。そこに、かつお節、昆布、ゴマなどを加え、まろやかなコクに仕上げる。秋はなめこ、正月からフキノトウを入れ、季節の香りもまとう。温麺も評判。


『稲庭うどん 七蔵』店舗詳細
稲庭うどん 七蔵
住所:東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館2F/営業時間:11:00〜14:30LO/定休日:土・日・祝/アクセス:JR・地下鉄・ゆりかもめ新橋駅から徒歩2分
とろける牛脂の旨味とくと味わえ!『浪花かすうどん むねひろ』[三田]

もとはかすうどんを知らなかった店主夫婦。ひとたび食したとき、その独特の味わいに衝撃を受けたという。出汁は関西のうどんつゆに寄せ、かつお節を多めに使用。本来は薄口醤油を使うところを濃口醤油に変え、東京の人々の口にも合うようにカスタマイズした。口にすると、油かすから溶け出した脂の甘みと旨味が、後を引く。麺をすすればネギやとろろ昆布の風味も加わり、食欲がさらに増進。一気に平らげてしまう!


『浪花かすうどん むねひろ』店舗詳細
浪花かすうどん むねひろ
住所:東京都港区芝4-5-15 クレール芝1F/営業時間:11:00〜14:00LO・17:00〜22:00LO/定休日:土・日・祝/アクセス:地下鉄浅草線・三田線三田駅から徒歩3分
ガシッとした歯ごたえに惚れる『手打ちうどん力丸』[富士見台]

店主の高原さんが富士吉田に赴任時、ハマったのがうどん行脚。「硬い麺がおいしくて」と、名店『くれちうどん』に教えを乞うた。24時間寝かせた手打ちは、ガシッとした強いコシ。煮干しやしいたけなどの混合出汁に、信州味噌と醤油で味を調えたお汁は、くっきりとした旨味とまろみが同居。飲み干す人、続出だ。馬肉を牛肉に変えた甘辛煮がコクを添え、味変のすりだね投入でピリリと痛烈な辛さが押し寄せる。


『手打ちうどん力丸』店舗詳細
手打ちうどん力丸
住所:東京都練馬区富士見台2-18-9/営業時間:11:00〜20:00(土・日・祝は9:00〜18:00)/定休日:木/アクセス:西武鉄道池袋線富士見台駅から徒歩4分
飲んだ後にいいキリリと締まる後味『花坊』[経堂]

そば猪口を満たすのは、辛味大根の搾り汁。常連だった山城裕輔さんは、店を閉じると聞くや否や先代に学び、看板のおしぼり汁うどんも引き継いだ。もちっと弾力のある手打ちうどんは水で締めるとツヤピカ。これを、今が旬の長野県坂城町産ねずみ大根の「とびっきりの辛さ」ですすれば、徐々にヒリヒリ舌を突き刺してくる。味変アイテムは信州味噌とネギ、関西風の汁で、まろみにほっと安堵。「この辛味がクセになる」という熱烈ファンのため、冬も冷やしで提供。天ぷらで一杯の後に締めで味わうのが通だ。



『花坊』店舗詳細
花坊(はなぼう)
住所:東京都世田谷区経堂1-12-14/営業時間:11:30〜14:30・18:00〜20:30/定休日:火夜・水・不定あり/アクセス:小田急電鉄小田急線経堂駅から徒歩1分
取材・文=佐藤さゆり・高橋健太(teamまめ) 撮影=逢坂聡