三鷹駅北口から徒歩18分。吉祥寺とのちょうど中間点、成蹊大学のすぐそばに、フランス菓子にこだわった知る人ぞ知るパティスリー&カフェがある。その名は『Patisserie A.K Labo』だ。繊細な生菓子をはじめ、あたたかみのある焼菓子やパンも揃える。日本のパティスリーとは少し趣の違う、まさに海外のパティスリーのような雰囲気。2003年に開業し、現在の地に移転して10年が経過、まもなく開店20年も見えてくる。長い間、フランス菓子にこだわり続けてきた店主の庄司さんに、その魅力を教えてもらった。
文化的なエリアにたたずむ真っ白なフランス菓子工房

緑のつたで覆われた、インダストリアルな雰囲気の店頭。一見するとインテリア店のような佇まいで、まるで工房のようだ。吉祥寺駅からも三鷹駅からも足を延ばすことができ、少し距離はあるものの散歩をするのにちょうど良い。

オーナーである庄司あかねさんは、元は料理本などを手がけるエディトリアルデザイナー。本づくりを経て料理への興味が深まり、自分でも作ってみたくなったことからフランスへ留学。製菓学校卒業後は、パティスリーで修業を積み、帰国後にパティスリー『Patisserie A.K Labo』を開店したのだ。

庄司さんは、古き良きフランス菓子の良さを伝えることを大切にしている。
「素朴な味わいはそのままに、遊び心のあるデザインをエッセンスとして加えて製造していますね」
ショーケースに並ぶ菓子たちは、どこか懐かしさもありながらも、色鮮やかでパッと目を引くフォルムが印象的だ。

素材にもフランスへの思いが詰まっている。ブリオッシュやクロワッサンには、現地産の発酵バターを使用。香りが断然違うという。
また素材にこだわるだけではなく、フランス文化を広く知ってもらうために毎月「フランス菓子さんぽ」というイベントを実施。毎月フランス各地に伝わる菓子を代わる代わるにピックアップして、紹介する。
日頃出合うことのない菓子が登場することから、その珍しさに遠方からも多くの客が訪れ、菓子への愛好を深めている。
穏やかな空間で、心ゆくまでティータイムを味わう
店内はテイクアウトスペースだけではなく、カフェスペースも備える。オーク素材のインテリアで、書棚には雑誌や書籍も揃う。温かみがあり、ほっとする空間だ。

『Patisserie A.K Labo』を訪れたのならば、まずは見た目に驚く「ムラング・シャンティ」を。こんもりとまあるいケーキは、眺めるだけでお腹がいっぱいになってしまいそうなサイズだ。

ふんわりと軽く焼き上げてあるメレンゲに、たっぷりと生クリームを挟んだ、フランスの伝統菓子。日本ではあまり姿を見ないかもしれない。
柔らかで口の中でほどけるような味わいのシャンティは、こんもりと大きいけれど、あっという間に食べ終わってしまう。紅茶やコーヒーと共に口にすれば、甘さもほどよい具合だ。
そしてフランスといえば忘れてはならない焼菓子もぜひ味わってほしい。こぼれんばかりの季節のフルーツがのったタルトは、果実とタルト記事とのバランスが良く、幸せなひとときをもたらしてくれる。

菓子も豊富に揃うが、飲み物も豊かなラインナップだ。コーヒー、エスプレッソに加え、数種類の紅茶に、台湾茶まで揃う。お茶類はポットに注がれて提供されるだけではなく、差し湯も追加でオーダー可能。ティータイムをたっぷり楽しめそうだ。
三鷹から吉祥寺の散歩を楽しむだけではなく、わざわざ足を延ばしてみてもよいかもしれない。異国・フランスへトリップする瞬間を味わうことができそうだ。
Patisserie A.K Labo(パティスリーエーケーラボ)
住所:東京都武蔵野市中町3-28-11/営業時間:11:00〜17:30LO/定休日:金・土・日/アクセス:JR中央本線三鷹駅から徒歩18分
取材・文・撮影=永見薫
永見 薫
ライター
まちづくり系の仕事を経て2014年よりライター。お散歩大好き、過去地図が好物。住宅地図片手にズンズン歩くも道にさまようのが悩み。店主さんと仲良くなってすぐに熱い抱擁をかわす癖が。