広尾駅から徒歩5分の商店街にたたずむ小さなパティスリー『メルシー』。こぢんまりとしたアットホームな空間で、パティシエが一人で日々こつこつと作るフランス仕込みの手作りスイーツが好評だ。看板メニューは、テレビで紹介されて以来たちまち地元名物となった広尾プリン。渋谷の手土産候補として、ぜひチェックしておこう。

地元の人にも見つからない?商店街にたたずむ小さなパティスリー

2015年にオープした『メルシー』は、広尾5丁目交差点近くにあるテイクアウト専門のパティスリー。商店街の奥にたたずむ小さなお店は、オープンから7年経っても「はじめて来た」という地元の人がいるほど“知る人ぞ知る”雰囲気だ。

外観のイメージ通り、店内はショーケースと小さな厨房のみのこぢんまりとした空間が広がっている。所々に手書きのメモなどが貼られたアットホーム感は、まさに地元のお菓子屋さんといった様子。まるで友人や親せきの家に遊びに来たかのような温かさに包まれている。

この店で一人、日々スイーツを作っているのがパティシエの飯野さん。フランスで修業を積み、フランスや国内のさまざまなレストランで経験を積んだ飯野さんが作るスイーツは、フランスと日本の多彩な手法がミックスされている。

店名の由来は「フランス語の中で一番シンプルで日本人にもなじみのある言葉をつけました」とのことで、日本語で「ありがとう」を意味する「MERCI(メルシー)」が冠された。なんとなくだが、店の雰囲気とマッチしたやわらかな空気を感じられる。

一人で作っていることは店の手書きメモにも。
一人で作っていることは店の手書きメモにも。

フランス仕込みの素朴で本格派なスイーツたち

ショーケースをのぞいてみると、この店でしか味わえないオリジナルの手作りスイーツが並んでいる。使用する素材はすべて飯野さんが国内やフランスなどから厳選して毎日仕入れ、スイーツの種類によって使い分けているそう。

季節のフルーツを使った気まぐれデザートは見た目も楽しい。
季節のフルーツを使った気まぐれデザートは見た目も楽しい。
ヨーロッパスイーツの代名詞であるマカロンも店の一押し。
ヨーロッパスイーツの代名詞であるマカロンも店の一押し。

スイーツはフランス仕込みということもあって、色とりどりな美しい見た目が楽しい。季節によって変化するものも多いので、来るたびにワクワクを楽しめそうだ。

クッキーやスコーン、パウンドケーキなどバラエティ豊かな焼き菓子が並ぶ。
クッキーやスコーン、パウンドケーキなどバラエティ豊かな焼き菓子が並ぶ。

また、ショーケースに並ぶスイーツに負けないくらい根強い人気を誇るのが焼き菓子だ。フランス産の小麦を使い一つひとつ丁寧に作られた焼き菓子は、フランス通からも「本場のような味わい」と人気。

広尾プリンは1本1350円、1/3サイズ486円。型に入ったままの型ごとパック1458円(写真左)は、型からプリンを取り出す瞬間がムービージェニック。
広尾プリンは1本1350円、1/3サイズ486円。型に入ったままの型ごとパック1458円(写真左)は、型からプリンを取り出す瞬間がムービージェニック。

そしてこの店の看板メニューといえば広尾プリンだ。特徴はなんといってもその見た目だろう。“1本”でまるまる販売される四角いプリンは、テレビで紹介されてからたちまち注目を集め、今やすっかり広尾の名物として全国で名を馳せている。

飯野さんに、なぜユニークな1本プリンを作ったのか尋ねてみた。

「フランスで修業中、フランスの家庭では食事の最後に大体必ずデザートが出てきて、特に週末は大きなサイズ(アントルメ)を切り分けて食べているのがすごく印象に残ったんです。子どもからおじいちゃんまでみんなで集まってワイワイとデザートを食べる、この時間がすごく好きだなって」

その光景を思い出しながら「みんなが集まる食卓の真ん中にプリンがあったらいいな」と思い、1本プリンが誕生したのだそう。

今回は、そんな広尾プリンと焼き菓子を手土産に購入し、自宅で楽しんでみることにした。

広尾プリンと焼き菓子を買ってみた

広尾プリン(写真右)と焼き菓子(写真左)。焼き菓子を入れる袋がかわいらしい。
広尾プリン(写真右)と焼き菓子(写真左)。焼き菓子を入れる袋がかわいらしい。

筆者が手土産として買ったのは、店で型をはずしてくれる広尾プリン1本と焼き菓子2つ。それにしても、1本まるまるのプリンの存在感は圧巻。このボリュームは大人ですら気分が上がるのに、これがおやつに出てきたら子どもは間違いなく大喜びするだろう。

広尾プリンは飯野さんいわく、硬さから味わいまですべて“バランスよく”仕上げたところがポイントなのだそう。巷では硬め・やわらかめといったどちらかに振り切ったプリンが多くなってきている中、こういった王道を貫くプリンは貴重なのかもしれない。

焼き菓子は、メルシークッキー216円とメルシーオリジナルパウンドケーキのカット270円をチョイスしてみた。

メルシークッキー(写真手前)とパウンドケーキのカットサイズ(写真奥)はほっこり素朴な見た目。
メルシークッキー(写真手前)とパウンドケーキのカットサイズ(写真奥)はほっこり素朴な見た目。

まずは焼き菓子から食べてみた。王冠型をしたメルシークッキーは、小麦本来の深い味わいが出るフランス産の小麦粉を使用。噛めば噛むほどに味が出てくるようなクッキーは、本場の味わいを気軽に楽しめる。見た目の愛らしさと、メルシーというメッセージからちょっとした手紙などを添えて感謝を伝えるシーンの贈り物にぴったり。

メルシーオリジナルパウンドケーキは、メープルとラム酒が効いた一品。しっとりジューシーな口当たりで、メープルの甘さの中にラム酒がふわっと香る。大人のおやつタイムに味わいたい、少し贅沢感のある味わいだ。

そしてお楽しみの広尾プリン。広尾プリンは1本ゆえに、食べ方は自由だ。気の向くまま、好きな大きさにカットして楽しむことができる。口に運ぶと、つるりとした生地がなめらかに口の中でとろけていき、上品な甘さが鼻を抜ける。卵感はしっかりとあるけれど、ほろ苦いカラメルが相まって甘すぎることはなく、つい次々と口に運んでしまう。

老若男女みんなが好きな“THE プリン”といった味わいなので、家族みんなで食べるには最適。週末、みんなが集まる食卓の真ん中に置きたいプリンだ。

その人気ゆえ早い時間から売り切れてしまうこともあるので、食べたいときには前日までに予約してから買いにいくのが確実。1本サイズだと食べきれない場合は1/3サイズもあるので、食べるシチュエーションによって選ぼう。

地元の小さな洋菓子店ながら、素朴さの中にフランス仕込みの本格的なこだわりを感じられる『メルシー』。渋谷や広尾の手土産を探すときには、ぜひ候補に入れておきたい一軒だ。

※商品の価格は2022年8月現在のもの。9月以降に価格改定の予定あり。

広尾のお菓子屋さん MERCI(メルシー)
住所:東京都渋谷区広尾5-8-1/営業時間:11:00〜19:00(土日祝11:00〜18:00)
※平日は19:30までピックアップ可 (要予約)/定休日:月、月2回連休有/アクセス:地下鉄日比谷線広尾駅から徒歩5分

取材・文・撮影=稲垣恵美

稲垣恵美
ライター
北海道出身のお散歩・お出かけ好きライター。晴れた日はどこかに出かけたくてソワソワしだす。フリーペーパーの出版社勤務後、現在はフリーランスで活動中。