多くの人々が行き交う下北沢南口商店街の一角で営業を行う『担担麺専門店 金威』。2016年にオープンした中華料理レストランから業態を変えて、2021年に現在のようなかたちにリニューアルを果たした。今回は、この店の看板メニューである担々麵を中心に紹介する。

カジュアルに利用できる専門店へ一新

数多くの飲食店が軒を連ねる下北沢南口商店街沿いにあるビルの2階で営業を行う『担担麺専門店 金威』。店へと続く階段に沿って、壁に貼られている担々麺や麻婆豆腐、あんかけ焼きそばなどの写真は、すべてこの店の名物である。なかでも、店名にも冠している担々麺は一番の人気を誇る看板メニューだ。

2016年のオープン当初は『美食天堂 金威』という名で、中華料理レストランとして営業を行っていた。現在のような担々麵専門店にリニューアルオープンしたのは2021年3月のこと。その背景について、店主の福田篤志さんはこう話す。

「『美食天堂 金威』として営業を続けていていくうちに、ゆっくり色んなものを味わいたいという落ち着いた層のお客様と、担々麵など一品料理を求めにいらっしゃるような若い層のお客様とのニーズに、サービス面でうまく対応できないジレンマを感じるようになっていきました。それで、思いきって店の形態をすみ分けして、それぞれのニーズに合った店をつくろうと考えたんです」。

こうして、それまで営業を行っていた店舗はカジュアルに利用できる担担麺専門店に。一方のアラカルトをゆっくり楽しめる店は、落ち着いた住宅地が広がる代沢3丁目の一角に『中国料理 代沢 金威』としてオープンすることとなった。

リニューアルを機に券売機も導入。
リニューアルを機に券売機も導入。

『南国酒家』や『広東名菜赤坂璃宮』『ANAインターコンチネンタルホテル東京』の中国料理店など有名店で修業を積んだ福田さん。四川料理や上海料理などに代表される四大中国料理のなかでも、広東省・香港・マカオ周辺が発祥地とされる広東料理を得意としている。そのため、四川料理にルーツを持つ担々麺も広東風にアレンジされている。

辛さよりもゴマの風味を楽しむ一杯

この店の担々麵の特徴の1つが、まず広東料理でよく使用されるという香港麺のような細麺を使用している点。麺にとろみのあるスープがしっかりからんで、最後までおいしく食べられるという利点もあるようだ。続いて、辛味などの刺激よりもゴマのおいしさを追求している点。スープ作りに欠かせないゴマペーストには国産のゴマを使用し、特注のミンチ機で二度挽きを行うというこだわりを見せる。そうすることで、香りが格段に異なると福田さんは言う。

金威特製タンタンメン900円。
金威特製タンタンメン900円。

目の前に現れた金威特製タンタンメンは、細く千切りにされた錦糸卵がこんもりと盛られた、これまでに見たことのないビジュアルが印象的だ。その下にカイワレやネギ、ひき肉が隠れている。錦糸卵のアイデアについて、福田さんは「見た目に華やかさをプラスするのと同時に、麺と同じ形状にカットした卵を乗せることで最後まで食べやすくなるんです」と教えてくれた。

スープは、福田さんの言うとおり圧倒的にゴマの風味・旨味が強く、辛味はその奥に感じる程度。錦糸卵との相性もよく、その食べやすさにどんどん箸が進む。辛味が物足りないという人には、辛さやシビレを5段階で増すこともできるので、辛いもの好きの人も満足できるはず。

店内はカウンター席を中心に構成。
店内はカウンター席を中心に構成。

この店で提供しているメニューは、どれも『美食天道 金威』時代から提供していた人気メニュー。使用する食材など当時とマイナーチェンジを図った部分もあるというが、リーズナブルに本格的な中華料理を味わえる店として、リニューアル後もなお下北沢の街で愛されている。

『担担麺専門店 金威』店舗詳細

担担麺専門店 金威(カムイ)
住所:東京都世田谷区北沢2-14-3 喜多ビル2F/営業時間:11:00〜22:00 LO/定休日:木曜/アクセス:小田急電鉄小田原線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩3分

取材・文・撮影=柿崎真英

柿崎真英
ライター
宮城県仙台市出身。2019年よりフリーランスライター・エディターとして活動中。月刊誌やニュースサイト編集者としてのバックグラウンドを活かして、Webメディアや雑誌などに寄稿を行う。