浅草寺観音本堂から浅草公園六区興行街までを結ぶ浅草西参道商店街。江戸情緒あふれる演出の商店街で、個性派の店が連なり、まるでテーマパークのようなにぎわいだ。この一画に店舗を構える『浅草製作所』は、2021年3月にオープンした天ぷらチップス専門店。休日は店舗前に折り返すように行列をつくる大人気店だ。

浅草でも珍しい食事系テイクアウトグルメ


商店街に入るとすぐに、枡と巨大天ぷらが飾られた店頭が目に飛び込んでくる。店頭には食べ物は陳列されておらず、一見しただけでは雑貨店なのかな?と勘違いしてしまう。それもそのはず、看板商品の天ぷらチップスは、注文を受けてから作るのだ。
店長の増田翔太さんは、「浅草には天ぷら屋さんはもちろん、スイーツ系のテイクアウト店も数多くあります。ですが、スイーツじゃなく、浅草らしいテイクアウトグルメというのは意外にないんです。天ぷらチップスは、そういった点からも、とても浅草でも珍しいテイクアウトグルメだと思います」と話す。
オープンと同時に早くも注目を集め、休日は大行列ができ、SNSやテレビなどにも取り上げられる注目店となっている。

専用機械で約2分。すぐに完成の天ぷらチップス

メニューは全5種類で、すべてワンコイン程度で食べることができる。どのように天ぷらチップスが作られるかというと、熱した鉄板の上に天ぷらをのせ、あとは圧縮するだけ。天ぷらをプレスという斬新なアイデアに驚かされる。ちなみにこのプレス機は特注品だという。

早速注文し、高温の鉄板にすでに揚げてある天ぷらがのせられる。プレスされる様子を見ようと待ち構えていると、「そこの緑色のボタンを押してください」と声がかかる。よく見るとレジ脇にボタンがあるじゃないか! えっ、本当に押していいのな……とドキドキしつつ、ボタンを押してみる。
機械の周辺はかなり熱い。高温でプレスすることできれいなチップスが完成するそうで、この日は暑かったこともあって待っているこちらも汗が止まらない。


待つこと約2分。アッという間に完成した天ぷらチップスは、薄い! でも、原型をとどめているので、何の天ぷらかよくわかる。これは食べてみるのが楽しみだ!

4種類の味変アイテムで楽しめる

完成品は熱々だが、薄いのですぐに熱も冷めて食べやすい。元の大きさより倍は大きくなっていて、思った以上に食べごたえがありそうだ。
まずは一口、そのまま味わってみる。味は何もついていないのでえび天そのままの風味だが、食感はパリッと歯ごたえがある。薄いので天ぷら特有の重たさは感じないと思っていたが、やはりそこは天ぷら。食べ進めるほどにお腹にたまっていく。

味変アイテムは塩、抹茶塩、わさび塩、激辛デビルの4種類用意されるので、味のバリーエーションを変えて楽しむことができる。
メニューには、ビール350円や日本酒1000円などアルコールも用意されているので、酒のつまみとして味わうこともできる。手軽に立ち飲み感覚で利用できるのもこの店の魅力といえる。

デザートにいかが?大福が新食感に


メニューの中でもう一つおすすめしたいのが大福600円。塩豆大福をチップスにしたものなのだが、手の平サイズにのっていた大福が3倍にまで広がって、新食感スイーツに生まれ変わる。
大福感はまったくなくなり、生地全体に餡が広がるためなのか、甘さも控えめに感じる。かなりの大きさがあるので、この1枚だけでも十分だ。
浅草の食べ歩きグルメも新しい店がどんどん増えている。歩けば歩くほど、楽しい食にも出合えるのも浅草散策の魅力の一つなので、この週末はぜひ足を運んでみたい。
浅草製作所(あさくさせいさくじょ)
住所:東京都台東区浅草2-7-13/営業時間:11:00〜16:00/定休日:無/アクセス:私鉄・地下鉄浅草駅から徒歩10分
取材・文・撮影=千葉香苗 構成=アド・グリーン
アド・グリーン
編集プロダクション
1982年創業の編集プロダクション。旅行関係の雑誌・書籍、インタビューやルポルタージュを得意とし、会社案内や社内報の経験も多数。企画立案から、取材・執筆、デザイン、撮影までをワンストップで行えるのがウリ。