2022年度に島根県内の虫歯を持つ子ども(18歳未満)の割合は、全国平均を上回っていたことが、文部科学省のまとめで分かった。共働き世帯の多い県内事情が影響しているとみられ、歯科医師は保護者が10歳程度まで歯磨きをチェックするなど、予防強化を呼びかける。

 飯南町下赤名の薬剤師、古新亜珠美さん(33)は、3人の子どもの歯磨きチェックを欠かさない。食後は必ず仕上げ磨きし、自身も虫歯ゼロを維持。昨年は、健康な歯の県内親子を表彰する「第72回親と子のよい歯のコンクール」で最優秀賞に選ばれた。

 歯磨きの際は「あ! 虫歯菌がいるよ!」などと呼びかけ、楽しく磨けるよう工夫。長女美月ちゃん(2)、次女柚月ちゃん(1)の虫歯ゼロも維持したく「今後も続けたい」と話す。

 文科省の学校保健統計によると、1本以上の虫歯がある県内小学生の割合は42%(全国平均37・02%)、中学は31・8%(同28・24%)、高校は44%(同38・3%)で、いずれも全国平均を上回った。年代別では9歳が49・7%と最も高く、17歳が49・5%、8歳が48・5%と続いた。

 県歯科医師会(松江市南田町)によると、共働き世帯数の多さが関係しているという。島根県の共働き世帯数は、20年の国勢調査で8万3808。共働き率は58・7%で、福井県(61・2%、山形県(59・9%)に次いで3番目に高い。歯磨きの面倒を見るのに割く時間の少なさが、子どもの虫歯増加につながっているとみられる。

 高木歯科医院(松江市東出雲町揖屋)の清水潤院長=県歯科医師会理事=は、仕上げ磨きと目視確認を子どもが10歳になるぐらいまでは続けるのに加え、1歳から予防効果があるとされるフッ素入り歯磨き粉の使用を推奨。デンタルフロスも活用し、歯茎の掃除も徹底するよう呼びかける。

 歯ブラシはボールペンを握るような感覚で持ち、毛先がなるべく軟らかいものが有効という。「やや過保護的と思われがちでも、しっかり指導することが、将来的な虫歯ゼロにもつながってくる」と強調する。