島根県内で果樹に被害をもたらすカメムシが大量発生している。県病害虫防除所によると、暖冬の影響で越冬した個体が多いとみられ、平年の11倍の数を確認している。同所は、被害が拡大する恐れがあるとして1日に2年ぶりの注意報を発令し、生産農家に発生状況把握と薬剤散布の実施などを呼びかけている。

 カメムシは落ち葉の下に隠れるなどして越冬し、暖かくなる春ごろに飛来する。スギやヒノキの葉などに産卵し、子世代が春ごろから飛び回るようになる。

 県病害虫防除所が、捕獲する予察灯を出雲市内に設置し調査したところ、4月1日〜6月30日に捕獲数は2922匹(平年値266・4匹)だった。種別は、小ぶりで緑色のチャバネアオカメムシ874匹(170・4匹)▽光沢のある緑色のツヤアオカメムシ1889匹(75・9匹)▽茶色のクサギカメムシ158匹(20・0匹)―。特に6月26〜30日の5日間で1415匹が確認されている。

 大量発生の理由は昨年の花粉量の多さと暖冬。食べ物にしているスギやヒノキの実(球果)が豊富で個体数が増えたところに暖冬が重なり、越冬数が急増したとみている。

 今年の花粉飛散量は平年並みで、スギやヒノキの球果量は昨年より減少するとみられる。このため、食べ物が不足し、代わりに柿や梨、スモモといった果樹を求める状況が予想されるという。カメムシが汁を吸った果物は黒褐色に変色したり、変形したりして商品価値がなくなる。

 7月以降、気温が高くなり、活動が活発になると予測。薬剤散布や早めの袋掛け作業を呼びかけている。