トランプ関税の影響で揺らぐ「日の丸半導体」復活 争奪戦の最先端品、国産化がカギ
産経ニュース6/16(月)18:05

トランプ米政権の高関税政策が、日本の国策である「半導体産業の復活」を揺るがしている。米国が新たに半導体への関税を検討しているのに加え、一連の関税措置に伴う景気悪化で半導体需要が落ち込む懸念もあるからだ。日本は機能や用途を特化した高付加価値品や製造装置など強みとする技術に磨きをかけるのに加え、高速処理や省電力化を可能とする最先端品の国産化を実現し、外的要因に左右されないサプライチェーン(供給網)を構築することが急務となる。
「半導体への関税は米国の企業や国民にも大きな影響が出るので、発動は難しいはず。でも、トランプ氏の行動は読めない」
追加関税発動なら混乱
半導体業界関係者は、米国が検討中の半導体やスマートフォンなどの電子製品に対する追加関税に懸念を示す。仮に発動されれば、世界に広がる供給網の混乱は避けられない。
日本は半導体そのものに加え、製造装置や材料も輸出している。巨大市場である米国の関税措置は輸出減につながる恐れがある。
そうでなくとも、幅広い分野で発動済みの関税措置が世界的な景気悪化をもたらし、多くの製品に使われる半導体の需要減につながるとの見方は多い。
半導体の供給網に詳しい地経学研究所の田上英樹客員研究員によると、半導体は先端品や高付加価値品、さらに家電製品などに使われる汎用品に分類される。日本の半導体産業はかつて世界を牽引しながら中国や台湾の台頭で凋落したが、現在も高付加価値品と汎用品には比較的強みを持つ。
汎用品は先端技術が不要なため低価格の量産品が多く、競合が厳しい。トランプ関税の影響で価格競争がさらに激しくなり、日本勢の輸出が減る可能性が高い。このため、日本が活路を見いだしたいのは、サイズの微細化を図った先端品と、高付加価値品だ。これらの半導体は米国も他国の製品に置き換えづらく、関税の影響を受けにくい。
政府は最先端品実用化急ぐ
政府は最先端品の実用化を急いでおり、次世代半導体の国産化を目指すラピダスに1兆8千億円超を支援し、2027年には量産が始まる見通し。最先端品に準ずるサイズの先端半導体についても受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)に最大計1兆2千億円を補助し、熊本県内の第1工場で量産が始まった。国内で製造した半導体の売上高を最近の6兆円(22年時点)から30年には15兆円超まで引き上げることを目指す。
武藤容治経済産業相は5月末の記者会見で「最先端半導体は世界で供給を大きく超える需要がある」と強調した。30年の世界市場規模は、AI(人工知能)やデータセンターなどが牽引し、24年の約1・6倍となる1兆ドルに達するとの予測もある。最先端品を中心とした争奪戦は必至。田上氏は「日本は自国で生産力を高めること、(製造装置を含め)供給網で重要な部分を押さえる存在になることが必要だ」と話している。
(福田涼太郎)











