7日に投開票される東京都知事選の行方を、株式市場が注目している。ニッセイアセットマネジメントによると、平成7年以降に行われた過去9回の都知事選後には日経平均株価が上昇傾向になることが多く、一定の相関性があるという。当選者の公約や政策に関連する銘柄が上振れする期待も高まっており、現状の情勢調査を参考に買い時を見極める投資家の動きも活発化しそうだ。

選挙半年後に上昇基調

同社が過去9回の都知事選後の株価の推移を分析したところ、投開票日から半年後にかけて株価が徐々に上昇していることが確認された。選挙後1カ月で上昇したのは9回中5回で上昇率の平均値は2・0%と伸び方は緩やかだが、投開票日から半年後は9回中8回で上昇。上昇率の平均値は14・7%と大幅に拡大している。

吉野貴晶投資工学開発センター長は「首都の政治日程や政策に関する不透明材料が徐々になくなり、不安感が後退していくことで株価が徐々に上昇している傾向がみられる」と指摘する。

ただし、今年は米大統領選や自民党総裁選、パリ五輪といった大きなイベントが控えており、都知事選の与える株価への影響は薄まる可能性もある。

子育てやITが関連銘柄に

一方で、市場がより関心を高めているのが、候補者の公約や政策だ。関連した個別銘柄は、株価上昇に直結する好材料になるため、当選が濃厚な候補者の政策に関連する銘柄を買い急ぐ投資家の動きも見られそうだ。

令和2年の前回選挙では、再選した小池百合子氏が、東京都内の一戸建てを含む新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付ける政策を発表したことで、住宅用太陽光発電関連の事業を手掛ける大和ハウス工業の株価が上昇基調に転じている。

今回の都知事選では、これまでの選挙情勢を踏まえ、現職の小池氏と前参院議員の蓮舫氏、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏の3候補の公約に注目が集まっている。

高校授業料の実質無償化の推進や防災・インフラ整備などを掲げる小池氏が当選すれば、学習塾や建設関連の銘柄の上昇が期待される。介護離職の是正や少子化対策などを訴える蓮舫氏に関連する銘柄は、介護施設の運営や子育て、妊活の支援に関わる企業とみられる。両氏の公約は似ている部分も多く、関連銘柄が被っているものも多い。

また、石丸氏はAIを活用した民意の集約や訪日客需要に着目したサービス拡充などを訴えており、ITや観光に関わる企業が関連銘柄となりそうだ。