おもてなしの心 新河岸川舟運の隆盛を体感 ふじみ野市立福岡河岸記念館 埼玉「館」巡り
産経ニュース6/3(火)16:22

荷主との取引が行われていた主屋の帳場=埼玉県ふじみ野市(昌林龍一撮影)
福岡河岸記念館が建つ現在の埼玉県ふじみ野市の新河岸川が流れる一角は、江戸時代から昭和初期まで、江戸浅草花川戸との舟運で栄えていた。当時の隆盛を感じさせる建物が記念館になっていると聞き、向かった。
江戸時代にあった回漕問屋のうち、明治時代に活躍した福田屋当主十代目星野仙蔵が生きた時代の建物が残る「福田屋」の敷地が記念館になっている。特に「客のもてなしのため内装に凝った」(ふじみ野市教育委員会)とされ定期的に特別公開される「離れ」は、晴天には富士山が望め、東武東上線の誘致の接客の舞台としても効果的に使われていたという。
新河岸川舟運の歴史が書かれた岸辺の看板を背にして少し坂を上がると記念館がある。ふじみ野市教委によると、江戸からは肥料になる材料などが運ばれ、この地域からは薪や炭、芋や野菜を運んだという。門を入ってすぐ右の主屋(おもや)の1階は、荷主との取引が行われる帳場。銭箱やそろばんが置かれ、当時のにぎわいを想像した。主の家族が寝起きする2階へ向かう階段は引き出しがついた箱階段があった。
貴重な明治期木造3階建て
主屋の奥右手に建つ木造3階建ての風流な建物が、衆議院議員としても活躍した十代目仙蔵が接客に使った「離れ」だ。3階まで達する「通し柱」で建築され関東大震災のときでもびくともしなかった。明治期の木造3階建ての建造物では県内で貴重という。
どの階も、障子のガラスの紋様が凝った作りになっていた。見晴らしの良い3階は階段から食事などを運んでくる際に、直接客間に入るのではなく廊下側から回り込む粋な造りで、おもてなしの心が行き届いていると感じた。
実は女優の実家の本家
隣に建つ文庫蔵には、剣道家としても活躍した十代目仙蔵の資料が飾られていた。さて、この福田屋。実はふじみ野市出身の女優、星野真里さんの実家の本家でもある。近代史が好きな人ならぜひ訪れたい。(昌林龍一)
◇
■ふじみ野市立福岡河岸記念館
埼玉県ふじみ野市指定文化財で回漕問屋の福田屋の建物を記念館として保存し公開。江戸時代から昭和初期まで浅草と当地方を結んでいた新河岸川の舟運の資料などを展示。午前10時〜午後4時半(10月から4月は午後4時まで)。月曜、年末年始休館(月曜が祝日のときも休館)。通常は非公開の離れの2、3階を特別公開(6月7日、7月12日の午前10時〜午後4時、入館は閉館30分前まで)。入館料(大人=100円、高・中・小学生50円)。
◇
■アクセスガイド
埼玉県ふじみ野市福岡3の4の2。東武東上線上福岡駅東口下車徒歩20分。同駅東口西武バス南古谷駅行き「城北埼玉中学・高等学校」下車徒歩3分。関越自動車道三芳スマートインターチェンジ(スマートIC)から約25分。駐車場(普通車5台分)【問】ふじみ野市立上福岡歴史民俗資料館(049・261・6065)。











