県境は何もない初夏だった 第二列車④ 素朴でうまい、氷見のかぶす汁で心も温まる!の巻 令和阿房列車で行こう2025 西へ東へ
産経ニュース6/15(日)10:00

北鉄能登バス(サンケイ3号君撮影)
重大なるミス、については後ほどお知らせすることにして、まずは腹ごしらえだ。
《かぶす汁で心も温まる》
え!? さっき「べるもんた」で握りずしを食べたばかりでは、と思われた読者もおられるだろうが、よく読んでいただきたい。5カンでは、これからの長いバス旅を乗り切れない。
駅構内に1台残っていたタクシーに乗り込み、運転手さんにスマホで検索した某有名店に行ってくれるよう頼んだが、「お客さん予約されました? 並ばないといけないかもしれませんよ」とすげない返事。
そうか。きょうは大型連休最終日だった。運転手さんに勧められるまま「ひみ番屋街」へ向かった。番屋街は、漁港近くにある道の駅で、飲食店や土産物屋などが軒を並べている。
さっそく「番屋亭」に入り、氷見名物・かぶす汁を注文した。「かぶす」とは、氷見の漁師言葉で「分け前」を意味するそう。要はカワハギやメジナなど、その日に水揚げされた魚を豪快にぶっこんだみそ汁で、素朴でうまい。身も心も温まる。
温まったところで、喉に生ビールを流し込む。当然のことながら、運転を控えたサンケイ3号君はお茶だ。申し訳ない。
《重大なるミスを犯す》
独酌のバチがあたったのだろう。重大なるミスは、この後に起きた。氷見―脇間の休日バスダイヤは時刻表に載っていないと昨日書いたが、脇14時発七尾行きに接続する氷見発のバスが休日はない、となぜか思い込んでしまっていたのである。
致し方なく番屋街からタクシーに乗って脇に向かった。先ほどの運転手さんが、車内のわれわれの話から類推し、ちゃんと待っていてくれたのだ。
小雨もあがり、タクシーは富山湾沿いを快調に走る。ドライブ好きにはたまらないコースだろう。当方は、39年前の新潟支局時代、2年間で2度も自損事故を起こし、県警某課長から「東京に戻ったら絶対に運転しちゃあなんねぇ」と説諭され、爾来(じらい)その教えを守っている。
脇に着いたが、七尾行きバスの発車まで40分以上ある。
「いやぁ、ホントに何もありませんね」
感に堪えない、という顔で3号君が叫んだ通り、海がみえるだけで何もない。
酒の看板を掲げている建物があったが、開いていない。道路沿いに何軒か立派な家が並んでいるのだが、誰も歩いていない。襟裳岬が何もない春なら、脇は何もない初夏だ。
NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」なら、お宅訪問を敢行するところだが、当方は詐欺師2人組と思われかねない。
ぶらぶら歩いていると、日中戦争で戦死した兵士の忠魂碑が、きれいに磨かれて立っていた。思わず背筋が伸びる。
バス停に戻ってしばらくすると、待望久しい赤バスがやってきた。安心していると、氷見側からもバスがやってきた。
あれ!? ちゃんと連絡しているではないか。慌ててスマホでバス会社のホームページを開くと、ちゃんと載っていた。キツネに化かされていたとしかいいようがない。
続きは明日のこころだぁ!(コラムニスト 乾正人)











