沖縄の海と伝統楽器の現状知って 白化したサンゴ使った三線完成、京都の学生がデザイン
産経ニュース6/13(金)11:47

三線のデザインを手がけた京都女子大の学生たち=4月19日、大阪市淀川区(堀口明里撮影)
サンゴ礁の死滅が進む沖縄の海や、伝統楽器の危機的現状を知ってもらおうと、白化したサンゴを一部に使った沖縄の伝統楽器「三線(さんしん)」が完成した。プロジェクトには京都の学生や沖縄出身の人気バンド「HY」などが参加。1台の楽器へと生まれ変わったサンゴが、音に乗せて沖縄の現状を訴えている。
大阪市淀川区の沖縄料理店で4月、沖縄民謡の鮮やかな音色が響き渡った。ステージに立つ奏者が手にしたのは、沖縄の海に生息する魚やサンゴが色とりどりに描かれた三線だ。その名も世界に1台しかない「そこにあるべきではない三線」。白化現象が長引けば、サンゴは死滅することから、沖縄の海に本当は存在してはいけないとのメッセージを込めた。
沖縄の海のサンゴを巡っては危機的な状況が続いている。環境省の令和6年度の調査では九州南端から続く南西諸島沿岸のサンゴが広域で白化していることが判明。特に沖縄本島の西側では、白化したサンゴの割合を示す「白化率」が高く、一部を除き40〜90%以上に達したうえ、浅い水深ではサンゴの死滅が確認された。
三線づくりのプロジェクトは、こうした沖縄の海の状況を知ってもらうことに加え、沖縄の音楽になくてはならない三線の危機も伝えるのが目的。費用はクラウドファンディングで募った。
プロジェクトを主催する団体「和の響き」によると、三線は職人の高齢化や演奏者の減少により、継承が危ぶまれているという。担当者は「世界に1台の三線を完成させることで、沖縄の海と伝統楽器の未来を守る第一歩にしたい」と語る。
粉末に加工した白化サンゴは三線の塗料や装飾に使用されている。デザインは京都女子大(京都市)の学生が考案した。同大の渋谷知瑚(ともこ)さん(21)は「沖縄のきれいな海がずっと続いてほしいという思いを込めた」と話す。
HYもプロジェクトに賛同。一部のデザインも手掛けたほか、過去に発表した楽曲をこの三線を巡るテーマソングとして提供した。今後もHYのコンサートなどで広く使われる予定だ。
和の響きの江口哲平さんは「三線を通じて、沖縄の海の問題を広く知ってもらい、解決に向けた保全活動につなげたい」と思いを語った。(堀口明里)
◇サンゴの白化現象
魚などを育み「海のゆりかご」と呼ばれるサンゴは微少な藻類「褐虫藻(かっちゅうそう)」を体内に共生させている。高水温などストレスがあると褐虫藻を放出し、白化を起こす。高水温には日照や海流など、さまざまな要因が影響すると考えられている。白化した状態が続くと、褐虫藻からの光合成生産物を受け取れず、死滅する。











