<独自>万博の大屋根リングに幻の全体保存案があった 開幕前に大阪府市が却下し廃案に

産経ニュース6/20(金)15:30

<独自>万博の大屋根リングに幻の全体保存案があった 開幕前に大阪府市が却下し廃案に

大阪・関西万博の大屋根リング=大阪市此花区(本社ヘリから)

開催中の大阪・関西万博の会場跡地整備を巡り、民間企業などから大屋根リングをほぼ完全に残して再活用する案が大阪府市に提案されたが、万博開幕前の段階で却下されていたことが20日、分かった。大阪府市はリングの一部を残すなどの2案を優秀案として選び再開発計画のベースとしているが、関係者からは「開幕後のリングの評価の高まりなどが考慮されない時期に却下され、妥当な判断とはいえないのではないか」と疑問の声が上がっている。

跡地整備案は会場の土地を所有する大阪市と大阪府が募集し、ゼネコンなどを中心に3つの企業群が応募。リングを一部残しサーキットやアリーナなどを整備する案と、緑や水を重視した案が優秀案に選ばれ、その内容を踏まえた基本計画案が2月に公表された。今秋にも開発事業者の募集を行う予定となっている。

落選した案はリング全体を利活用することを前提に構成した。関係者によると、リングの内側は商業施設やエンターテインメント施設などを整備し、リングは各施設に移動するための遊歩道などとして利用する内容になっていた。リングを施設の一部として利用するなど輪の形状のまま全面的に保全、活用するものだったが、却下されて内容も非公表となっている。

リングは仮設建築物のため、常設するには大幅な改修が不可欠で、そのための費用や修繕費が必要となる。落選案は、改修費にはリングを解体しないことにより生まれる未使用分の解体費などを利用し、修繕費も跡地を利用する民間企業が負担するとしていた。

リングは当初の会場整備計画になく、追加で約350億円の建設費用が発生したことなどから批判が集まった。しかし、開幕後は来場者による評価が高まり、海外の要人やパビリオン関係者からも解体に反対する声が多く上がっている。現状、リングは全体の1割程度の約200メートルを残す案を中心に議論されているが、大半は焼却などで処分される見通しだ。

全体保存案が却下された理由は多額の費用負担が敬遠されたとみられる。選定が万博開幕の約3カ月前に実施されたことについて、関係者は「リングは開幕後に評価が大幅に高まり、それが考慮されなかったのは残念だ」としている。

1970年大阪万博では、維持費などの問題で撤去予定だったシンボル「太陽の塔」が、閉幕後に撤去反対の機運が高まり一転保存に至った。万博の貴重なレガシー(遺産)として今年5月には国の重要文化財に登録するよう答申されている。(黒川信雄)

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