新型コロナウイルスの感染力が強い英国型変異株が広がる大阪など関西圏で、子供にも感染が広がり始めている。子供は大人に比べて感染しにくいとされてきたが、最近は保育園などでのクラスター(感染者集団)の発生も相次いでおり、専門家は「コロナをめぐる小児科医療の正念場は、これからかもしれない」と警戒感を強めている。(地主明世)

 「大型連休中は人と接触する活動を控え、対策の徹底をお願いしたい」。吉村洋文知事は3日、府庁で記者団にこう述べ、感染予防の徹底を訴えた。

 大阪府の担当者は最近の傾向として、「児童施設関連のクラスターが増えている印象はある」と語る。府内では3月以降の「第4波」で感染者が急増。厚生労働省に新型コロナ感染症対策を助言する専門家組織は4月末、関西圏での変異株の割合が8割程度となり「置き換わったと推定される」との見解をまとめた。

 こうした変化に合わせ、増え始めたのが子供の感染者数だ。従来株が主流だった「第3波」(昨年10月〜今年2月)では、感染者のうち10歳未満は2・7%、10代は7・3%で計1割。だが、第4波の変異株感染者の年齢別割合をみると、10歳未満が6%、10代は12・9%で、合わせて18・9%に達する。

 厚労省の資料でも、3月中旬の変異株の確認数は10歳未満が40代に次いで多く、15%を占めた。担当者は「変異株は全年齢で広がりやすいと考えて、対策をしてほしい」と話す。

他の感染症との併発も

 医療現場では、数字に表れていない危機を警戒する声もある。

 「コロナ陽性で入院している小児患者が増えてきている」と話すのは、兵庫県立こども病院(神戸市中央区)で感染症内科部長を務める笠井正志医師だ。同県内の10歳未満の新規陽性者数は3月下旬は1日平均3・5人だったが、4月中旬には16・7人に急増。現在は、せきなどの症状が出る「RSウイルス感染症」が同時流行中の地域もあり、子供が併発して入院に至るケースも。「基礎疾患のある子供には危険な状況」だという。

 ただ、同県でも各医療機関の病床は「大人のコロナ患者で埋まっている」。このため、こども病院には県内各地の小児患者が集まっているといい、笠井部長は「このままではうちもパンクする」と打ち明けた。

基本の対策の徹底を

 変異株が広がる中でも、予防の基本はやはりマスク着用と手洗い、うがいだという。ただ、幼い子供に徹底させるのは難しい。

 「子供はマスクを着けられず、うがいもまだできない。あちこち走り回っては触り、屋外でも地面に寝転がることだってある」と話すのは、1歳の娘を持つ神戸市の会社員の女性(32)。「できる範囲で消毒などをしているが、限界はある」

 子供の感染予防は、どうすればいいのか。笠井部長は「10歳未満の感染ルートは、家族や学校などがほとんど。まずは大人が感染しないようにすることだ」と強調。「子供専用の病床はもともと少なく、感染が広がったり重症化したりすれば、医療崩壊はあっという間だろう。学校の一斉休校の可能性も排除せず、子供の感染動向を注視していくべきだ」と話した。