東京・上野で飲食店を手広く営んでいた宝島龍太郎さんと妻の幸子さんが殺害された事件は、2人の長女の真奈美容疑者が殺人容疑で逮捕される展開を迎えた。遺体を河川敷に捨て、焼損させるという残忍な事件の背景には、店の経営を巡る親子間のトラブルがあったとみられる。

宝島さん夫妻は上野で十数年前から飲食店を展開。真奈美容疑者は平成26年2月、宝島さんが社長を務める店の運営会社「サンエイ商事」の取締役に就任した。

肩書こそ役員だった真奈美容疑者だが、近くの飲食店の男性は「たまに見かけたが(関根容疑者に)付き添っていただけ。用事が終わったらすぐに帰る」と説明。経営にはほとんど関わっていなかったとみられる。

真奈美容疑者に代わって業務を担っていたのが関根誠端容疑者だ。真奈美容疑者とは学生時代から交際を始め、数年前から内縁関係にあった。

一時は「宝島さん夫妻から信頼され、副社長のようだった」(知人)という関根容疑者だが、店の経営方針を巡って対立するようになる。人件費の安い外国人従業員を雇い、拡大路線を進める夫妻に対し、関根容疑者は「店ごとの収益を上げる」という方針にこだわった。

関根容疑者が任されていた店が業績を伸ばすと、夫妻は〝上納〟する金を増やすよう迫ったとされる。確執が深まるとともに、真奈美容疑者も今年1月、取締役を退任した。

事件後の5月6日、警視庁・栃木県警合同捜査本部は関根容疑者を逮捕。真奈美容疑者にも聴取したが「あまり捜査への協力は得られなかった」(捜査関係者)。真奈美容疑者は5月15日に代表取締役に就任。会社の残務整理を進めていたとみられる。