能登半島地震で被害が大きかった奥能登の石川県珠洲市、輪島市、能登町、穴水町の4市町で、6月下旬までに約130の事業者が被災後に廃業したか、廃業を予定していることが産経新聞の取材で30日、分かった。

2市の商工会議所、2町の商工会に、それぞれの会員で廃業または廃業予定の事業者数を聞いたところ、輪島市で47、珠洲市で約50、能登町で18、穴水町で15だった。

このうち珠洲商工会議所によると、会員約500事業者のうち約200が営業や操業を再開する一方、約250が「休業」「再開は未定」、約50が「廃業」「廃業を予定」と回答。同商議所の担当者は「(こうした回答は)今後も増えそうだ」と話す。

背景の一つに断水がある。珠洲市で道路に埋設されている水道管は5月末までに大半の地域で復旧したが、同商議所は「復旧した地域の3分の2では建物内の配管が壊れ、水を使えない事業所が多い」と話す。

特に水を多く使う飲食店や食料品店、旅館、工場などでは、営業や操業ができない状況が続いている。

一方、石川県によると、地震で被害を受けた中小企業などの復旧を支援する「なりわい再建支援補助金」は、県内で5月末までに126件の申請があり、17件で補助金交付が採択された。このうち奥能登4市町は申請が13件、採択が1件だった。(牛島要平)