パラ「二刀流」世界の壁登る、パワーリフティングとクライミング 西崎哲男さん 

産経ニュース6/20(金)11:09

パラ「二刀流」世界の壁登る、パワーリフティングとクライミング 西崎哲男さん 

ベンチプレスを行う西崎哲男さん=4日、大阪市浪速区の乃村工藝社大阪事業所

2028年ロサンゼルス・パラリンピックで追加採用が決まり、注目を集めるパラクライミング。今月23日からオーストリア・インスブルックで開催されるワールドカップに下肢機能障害の最も重いクラス「AL1」日本代表として初参戦する西崎哲男さん(48)=乃村工芸社=は、16年リオ・パラに出場したパワーリフティング選手で、男子49キログラム級日本記録保持者だ。全く異なる競技との異例の「二刀流」だが、「いい相乗効果が出ており、両方で高みを狙いたい」と語る。

大阪市浪速区の乃村工芸社大阪事業所内にあるトレーニングルーム。西崎さんは力む様子もなく、70キロを軽々と挙げた。パワーリフティングは週5日、クライミングは週2、3日のペースで取り組んでいるという。

24歳のとき、仕事中の交通事故で脊髄を損傷。車いす陸上の日本代表になったがパラリンピックには届かず、リオ・パラの3年前にパワーリフティングに転向して出場。だが「記録なし」に終わり、東京、パリの出場は逃した。

クライミングに挑んだきっかけは昨年6月、ロス・パラに追加採用されるとのニュースに「障害があってもできるのか」と興味を持ったこと。7月に京都府京田辺市のユニバーサルクライミングジム「ロック・オン・ザ・ビーチ」で開催された交流型イベントに参加して以来、「楽しくて」毎週通うようになった。

パワーリフティングの記録更新が止まっていた時期だった。ベンチ台であおむけになり、足を伸ばした状態で胸まで下ろしたバーベルを持ち上げるパワーリフティングは上半身の力だけが頼り。競技歴が長くなるほど、記録更新は「1年かけて1キロできるかどうか」という繊細な競技だ。

もともと、パワーリフティングのトレーニング後に「補助トレーニング」として筋トレを行っていた。クライミングを「補助トレ」的に始めた結果、今年3月の全日本大会で142キロを記録した。3年ぶりに自己ベストを更新して日本記録を樹立し、世界選手権派遣標準記録も突破、ロス・パラにつながる切符をつかんだ。2週間後のパラクライミング・ジャパンシリーズでは「男子AL1」のクラスで2位に入賞、日本代表に選出された。

ただ3日に発表されたロス・パラで実施されるクライミング競技8クラスの中に「AL1」はなかった。それでも「パワーリフティングにも良い影響があるし、何より楽しい」と「二刀流」は続けるつもりだ。ロスでは絞られたクラスも、今後の大会で採用される可能性もある。「するのも見るのも面白いスポーツ。絶対盛り上がると思う」と期待する。

パラクライミングでは初めて挑む世界の舞台だが、「パワーリフティングの記録が伸びたことで気持ちにも余裕ができており、(現状を)楽しめている」。10月のパワーリフティング世界選手権に向け、「良い流れ」を作りたい。(木村さやか)

関連記事

おすすめ情報

産経ニュースの他の記事も見る

主要なニュース

6/23(月) 18:38更新

社会の主要なニュースをもっと見る