東京都知事選(7月7日投開票)を巡り、立候補者のポスター掲示板に、令和2年に亡くなった俳優の三浦春馬さん(享年30)の氏名と似顔絵がデザインされたものが貼られていることが分かった。所属事務所のアミューズは28日、「無許諾かつ商業目的の利用であり、強い憤りを覚えている。ご遺族も心を痛めている」などとするコメントを発表した。

「遺族も心痛」

コメントでは、「東京都知事選挙の掲示板に当社所属アーティストである三浦春馬の氏名と肖像(似顔絵)が使用された選挙ポスターが掲示されていますが、そのような利用については一切許諾しておらず、都選挙管理委員会に対し抗議しております」と説明。「当社は強い憤りを覚えており、またご遺族も大変心を痛めております」と訴えた。

都知事選の選挙ポスターを巡っては、ある政治団体が「寄付」を受け取ったうえで、掲示板に寄付者が作成したポスターを貼る権利を与える取り組みを実施。これにより、候補者とは全く関係のない個人のポスターが貼られた掲示板が乱立する事態となっている。この政治団体は、掲示板に風俗店を紹介するポスターを張ったとして、風営法違反の疑いで警視庁から警告も受けている。

早急な撤去を要求

一方、アミューズは、「抗議の趣旨としては、昨今、世間を騒がせている『候補者以外の人物の写真を使用したポスター掲示』で論議されている選挙制度や公職選挙法の問題ではなく、三浦春馬の氏名と肖像(似顔絵)が無許諾で、しかも商業目的で選挙ポスターに使用されているという、パブリシティ権の侵害についてです」と主張。当該ポスターに関し、「この選挙ポスターを掲示した者がただちにそれらを撤去することを求めます」とした。

また、ポスターにはQRコードが付されているといい、「最終的には動画共有サイトの有料メンバーシップの紹介などの商業目的に使われていると見受けられました」と指摘。「皆さまにおかれましては、今回の選挙ポスターによる収益活動に利用されませんようご注意ください」と呼びかけた上で、「いつまでも三浦春馬および彼が出演した作品をご愛顧ください」とつづった。