堺市が昨年10月以降、不祥事の根絶に向けたプログラムを相次いで発表している。市長部局、上下水道局、教育委員会で不祥事が続いたことが背景にあり、あわせて100ページ以上に及ぶ文書で、「これ以上の不祥事の発生はなんとしてでも食い止めなければならない」と永藤英機市長。危機感を募らせている。

同市では、令和4年に起きた傷害致死事件の被告に生活保護費を不正支給していたことが判明し、市は職員4人を懲戒免職処分などにした。第三者委員会の報告書では「被告の言いなりとなって判断能力を喪失した」として市職員の対応を指弾。これを受け、市は今年3月、「不祥事根絶に向けた職員行動方針」を作成し、「不当要求への組織的対応」を盛り込んだ。

上下水道局をめぐっては、昨年、発注工事費を不当に水増ししていたことが発覚。同局は昨年10月、「上下水道局組織変革宣言」などを公表し、設計変更の審査を厳格化したほか、不当要求に特化した同局のマニュアルも作った。

教育委員会では、高校入試での内申書のミスが8年連続発生し、合否判定に影響したケースも判明。また、市立中学校で金品盗難被害が何度も発生していたのに、学校側は当時教委への報告や被害届の提出を怠ったり、市立小学校の校長が教頭の万引行為に目をつぶっていたことが昨年、相次いでわかった。教委は今年3月、「未来をつくる堺の誇り(PRIDE)」を作成。体罰や児童へのわいせつ行為、内申書ミスなど12例を取り上げ、教職員が書き込めるワークシート形式にした。

3文書はあわせて100ページを超える。「組織風土を根本から見つめ直す必要がある」として、同市は幹部会議で方針を徹底するなど綱紀粛正を図っている。