岸田文雄首相は18日、衆院本会議に出席し、国賓待遇での訪米の際に行ったバイデン大統領との会談や、米上下両院合同会議での演説の成果を訴えた。立憲民主党など野党は党勢を左右する衆院3補欠選挙(28日投開票)が目前に控えていることもあり、首相の巻き返しを防ごうと試みたが、訪米以降、内閣支持率が上昇に転じていることもあり、攻め手不足は否めなかった。

「バイデン氏と合計で9時間もの時間をともに過ごした。現在の国際情勢のもとで日米がとるべき戦略について首脳レベルですり合わせることができた」

首相は本会議で訪米をこう振り返り、日米関係を「かつてなく強固な信頼関係に基づくグローバルパートナー」と強調した。

首相は訪米前、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件による支持率下落に苦しんできた。だが、帰国してからは共同通信社の13〜15日の全国電話世論調査で前回調査から3・7ポイント増の23・8%となるなど回復の兆しがある。令和4年に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題が直撃し、支持率が急落した際、翌5年3月のウクライナへの電撃訪問など外交成果で政権浮揚につなげた成功体験の再現を期待する声も政権内にある。

一方、立民としては補選を前に、訪米成果による首相の巻き返しは看過できない事態だ。この日の本会議では源馬謙太郎氏が首相の議会演説での「日本の国会ではこれほどすてきな拍手を受けることはない」というジョークについて「首相が国会で拍手されない理由は多くの問題に真摯(しんし)に向き合わない首相自身にある」とあげつらった。

ただ、「日米関係は安定して強固であるということが確認できたことは評価すべきだと考える」と成果を認める場面もあった。国民民主党の玉木雄一郎代表も「今回の日米首脳会談は成功だったと率直に評価する」と語った。

また、共産党の志位和夫議長は、首脳会談で確認した自衛隊と在日米軍の指揮・統制枠組みの見直しについて「米軍主導で行われ、自衛隊は米軍の指揮・統制のもとに置かれることは明瞭ではないか」と首相に迫ったが、首相は「自衛隊のすべての活動はわが国の主体的判断のもと行われる。自衛隊と米軍は独立した指揮系統に従って行動することに何ら変更はない」と反論した。(永原慎吾)