女子ゴルフの資生堂レディース最終日で30日、2位から出た桑木志帆が4バーディー、1ボギーの69で逆転し、通算11アンダーでツアー初優勝した。

最終18番(パー4)、1メートルのウイニングパットを沈めると桑木は両手を天に突き上げ、笑みを浮かべた。「もう夢中だった。でも去年の忘れ物を取りに来られてよかったと思います」と安堵(あんど)した。その直後に同組で優勝を争った小祝、堀琴にハグされ、「おめでとう」と言葉をかけられた。思わずわれに返った。うれし涙が込み上げてきた。

忘れられない出来事があった。昨年のこの大会でプロ入り初めての優勝争いをした。18番のプレーオフで桜井にバーディーを奪われて敗れた。1年後の今年、初日の18番に〝あの時〟を思い出した。「リベンジのバーディーが取れた。今年は違う」と悪夢を消した。

首位に1打差2位タイで迎えた最終日も「去年より底力がついたかなと思っている」と臨んだ。9番(パー4)で13メートルのバーディーを沈め単独トップへ。12番(パー4)では、右に曲がったティーショットが木に当たってフェアウエーに戻った。そんな幸運も味方にして、6メートルに2オンさせバーディーを奪うなど、最後まで流れを切らさなかった。

小、中学時代、父・正利さんの厳しい指導にゴルフをやめたいと思ったこともあるが、「今は一番の理解者。優勝を見せられてよかった」。今年2月に米ロサンゼルスで初の海外合宿を試みた。「将来へ向けて、ですね」。桑木の夢は広がる。(清水満)