引退危機の稀勢の里、進退ラインは自身の“横綱観”

 横綱・稀勢の里にとって試練の序盤となる。進退を懸ける大相撲初場所の対戦相手は、初日が御嶽海で2日目が逸ノ城。先場所初日に敗れた貴景勝のように押したり引いたりといった駆け引きはせず、正攻法で実績を積み上げてきた文句なしの実力者だ。

 序盤が力士人生を決定付けるといっていい。進退を懸けた昨年秋場所は、苦しい中でも星を拾いながら5連勝発進して延命に成功。しかし、好調を維持して臨んだ先場所は4連敗発進して休場に追い込まれ、進退問題を再燃させてしまった。

 「一日一日、しっかりやっていく」と闘志を燃やす横綱にとって初場所の途中休場は引退を意味する。一方、上位陣が勢ぞろいしそうな中で最終盤まで優勝争いに絡めば、最高位の責任を果たすとともに今後に期待も抱かせてくれるだろう。

 難しいのは中途半端な成績となった場合だ。昨年秋場所は10勝で引退を回避したが、9勝止まりの大関でも「クンロク(9勝6敗)」と揶揄(やゆ)される世界。そもそも横綱は10勝で許される地位ではなく、決断を委ねられる稀勢の里自身の“横綱観”が問われる。

 「どの場所も(勝てなければ辞める)覚悟を持って土俵に上がっている」と横綱の胸中を推し量るのは師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)。横綱審議委員会に異例の「激励」を決議された稀勢の里に勝負のときが迫ってきた。

 (奥山次郎)


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