歌手、伍代夏子(62)が29日、能登半島地震の被災地である石川・珠洲市で復興応援の無料公演を開催した。約400人を前に歌手仲間とともに19曲を熱唱した。地震から7月1日で半年。伍代は夫の歌手で俳優、杉良太郎(79)と炊き出しなどの支援活動を続けており、2月以降で5度目の県内入り。公演開催の約束を今回実現させた。

最高気温29度の快晴となった珠洲市。風光明媚(めいび)な日本海を見渡せる一方、屋根の一部が補修のブルーシートで覆われ被害の跡もまだ残っている会場の市立三崎中学校体育館で、伍代らが明るく伸びやかな歌声で被災者らを癒やした。

歌手仲間の大石まどか(51)、石原詢子(56)らと艶やかな着物姿で登場。「こんにちは〜」と大きな声であいさつし、石川さゆり(66)の「能登半島」を全員で歌うなど19曲で盛り上げた。今回出演の7人は演歌界の卓球同好会「美魔女艶歌卓球部」のメンバーで、部長の伍代は観客と対戦して交流する場面も。「息があがっちゃった」と苦笑しながら、「健康のために体力作りも大切」と呼び掛けた。

伍代は夫の杉良太郎と被災地支援に積極的で、能登半島地震でも活動。石川訪問は今回で5度目となる。2月4日に金沢市で炊き出しをした際、被災者の要望で急きょ歌唱したが、公演は今回が初めて。復興状況と卓球部メンバーのスケジュールをみながら開催にこぎつけた伍代は、「ずっとコンサートの約束をしてきたので実現できてうれしい」と笑顔をみせた。

ステージでは新曲「いのちの砂時計」も披露。一時は避難所として使用され、現在も敷地に仮設住宅が並ぶ三崎中で「私たちは生きていかなければいけないし、災害で新天地に行ってもご近所さんと絆を強めて前に進まないといけない」とエールを送った。

伍代は「たとえ私たちができなくても、歌手仲間でバトンをつなげていきたい」。絆による被災地支援の継続を力強く誓った。(山内倫貴)

★〝地元〟島津悦子は「情報発信し続けたい」

今回出演した島津悦子(62)は2002年に金沢市在住の一般男性と結婚して同市に移住。現在は石川県志賀町の観光大使を務めている。この日は結婚記念日で、「ダンナを放っておいて来ました」とユーモラスにあいさつ。新曲「慈雨(なさけあめ)」を熱唱し、「歌い続けると同時に被災地の情報も発信し続けたい」と約束した。今回は厚労省肝炎対策国民運動事業「知って、肝炎プロジェクト」の一環で開催され、伍代は肝炎検査の早期受診を呼び掛けた。