【シカゴ(米イリノイ州)26日(日本時間27日)=山田結軌】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手(29)はホワイトソックス戦に「1番・DH」で出場し、自身初の2試合連続の初回先頭打者本塁打となる25号ソロを放った。先頭打者本塁打は今季3度目、通算9本目。10試合連続打点は1955年のロイ・キャンパネラらを抜く球団新記録となり「(例年好調の6月は)波が来やすい」と表現した。チームは4―0で勝利し、4連勝を飾った。

甘く入った球をファーストスイングで捉えた。一回先頭。大谷はフルカウントから右腕フェディーが投じたカットボールを振り抜き、右中間席中段に運んだ。打球速度113・9マイル(約183キロ)、飛距離437フィート(約133メートル)、角度26度。圧巻の25号ソロに敵も味方も呆然(ぼうぜん)とした。

「(例年好調の6月は)シーズンに慣れてくる。良いところ、悪いところ、いろいろ改善しながら、ちょうどそういう波が来やすいのかな」

大谷が「波」に乗っている。自身最速での今季100安打目は、日本ハム時代を含めて自身初となる2試合連続の初回先頭打者本塁打。今季3度目、通算9本目とし、日本選手歴代2位の松井稼頭央に並んだ(最多はイチローの37本)。1955年のロイ・キャンパネラらと並んでいた連続試合打点は10に伸ばし、打点が公式記録に採用された1920年以降での球団新記録となった。移籍1年目でリーグ優勝24回を誇る名門球団の歴史を塗り替えた。

好球必打−。シンプルな思考が好調を支える。打席に入る前には、ボールを捉える面を意識するようにインパクト付近でバットを止めて軌道を確認。三塁線とホームベースの延長線上にバットを置き、左足の位置を決める。「シンプルにストライクを振ることが一番。そこさえできていればいいスイング、いい構えができている証拠」とこの日は2四球を選んだ。

ベッツが左手の骨折で離脱して以来、1番を任された9試合で打率・424(33打数14安打)、6本塁打、15打点。例年好調の6月は23試合で打率・310、11本塁打、23打点となった。ナ・リーグトップの本塁打数は2位と4本差とし、打率・322と2冠。61打点は1位のオズナ(ブレーブス)とボーム(フィリーズ)まで3とし、三冠王も現実的に。ロバーツ監督は「今、彼がこの惑星で最も危険極まりない打者だ。別の次元にいる」と最大級の賛辞を贈った。

全米が大谷の打席に注目する。ホワイトソックスの本拠地、ギャランティードレート・フィールドには今季初のチケット完売となる3万6225人の大観衆が詰めかけた。平日の完売は開幕戦と同じくシカゴに本拠地を置くカブス戦を除けば、2012年7月23日のツインズ戦以来12年ぶりだった。

「(レギュラー)シーズンの後まで見据えて、しっかり(好調を)継続できればいい」と大谷。地区優勝争い、そして自身初のポストシーズンへ。大きな「波」を捉えた大谷が、勢いに乗ってワールドシリーズ制覇の目標に突き進む。

■データBOX

❶大谷が10試合連続打点をマーク。打点が公式記録となった1920年以降、9試合連続打点を記録した24年エディ・ブラウン、44年オーギー・ギャラン、55年ロイ・キャンパネラを抜く球団新記録。MLB記録は1922年のレイ・グリムス(カブス)の17試合。

❷今季100安打に到達。チーム82試合、自身79試合目はメジャー7年目で最速。昨季のチーム90試合目、出場88試合が最速だった。

❸初回先頭打者本塁打は通算9本目(日本ハム時代には1本)。日本選手では松井稼頭央に並び歴代2位。最多はイチローの37本。

❹2試合連続の初回先頭打者本塁打は自身初。メジャー記録は1996年にブレイディ・アンダーソン(オリオールズ)が記録した4試合連続。プロ野球記録は松永浩美(阪神)が1993年に記録した3試合連続。