福岡市中央区六本松の駐車場。紺色のエプロンを着け、移動販売車で接客をするのは、元Jリーガーでアビスパ福岡アンバサダーを務める中村北斗さんです。中村さんは、アビスパ時代のチームメートで現役を昨季で退いた神山竜一さんと、大豆製品の移動販売に乗り出しました。

「ゴチソイ福岡」を旗揚げ

 高校サッカーの名門・国見高校(長崎県雲仙市)の頃から注目を浴び、アビスパやFC東京などで活躍した中村さん。2019年シーズンを最後に出身地のチーム、V.ファーレン長崎で16年間のプロ生活を終えました。

 そんな中村さんが軽トラックで販売するのは、島原食品(長崎県島原市)の大豆製品シリーズ「GOCHISOY(ゴチソイ)」。乳製品や卵、小麦粉は使用しておらず、「大豆でつくるごちそう」をコンセプトに美容や健康を意識して開発された商品です。

 ゴチソイとの出会いはV長崎に在籍していたとき。自身の子どもの食品アレルギーがきっかけでした。ゴチソイ商品の販売を自ら手がけたいと、2月に「ゴチソイ福岡」を"旗揚げ"して事業を始めました。

サッカー以外の世界も!

 引退後の2020年、アビスパのユース(育成組織)のコーチに就任した中村さん。ファンやサポーターら多くの人から、アビスパでそのまま指導者の道を歩むと思われていましたが、1年でコーチを辞めて移動販売の世界へ。驚きの転身に映りますが、中村さんには強い思いがあったようです。

 「引退から時間がたたないうちに、ほかにもやっておいた方がいいことがあるんじゃないかと。5年後、10年後を考え、サッカー以外の世界も知っておかなければ」

 中村さんが新たな挑戦のパートナーとして声をかけたのは、ラインメール青森を最後に2020年シーズンに引退した神山さん。中村さんの思いに共感し、一緒にやることを即決したそうです。接客や販売のことを勉強する日々を送っています。

二人三脚での挑戦つづく

 中村さんは「まだ始めて間もないですし、不安の方が大きいです」と言いますが、やりがいや手応えも感じているようです。「ある施設での販売に呼んでいただいた際は、『元アビスパの選手たちが来るよ!』って、みなさんが楽しみに待っていてくれました。楽しそうにしている笑顔を見て、本当によかったと思いました」

 サッカーと食をつなぐ事業展開も模索しているとのこと。「プロのアスリートとして常に食を意識してきましたが、プロになってから、大人になってからではなく、子どもの頃から習慣として身に付いた方がいい。ゴチソイの商品をきっかけとして、保護者とも一緒に取り組める仕組みをつくっていければ」と中村さんは話します。

 「こうして取材を受けたり、ファンやサポーターが訪ねて来てくれるのも、僕らが現役を引退して時間がそんなにたっていないからだと思っています。それは今だからこその強みだし、ありがたいこと。ちゃんと生かしていきたいですね」。自らを取り巻く環境を冷静に見定めながら、神山さんと二人三脚の挑戦が続きます。

 ゴチソイ福岡は、インスタグラムのストーリーズのほか、中村さんのツイッター、神山さんのツイッターで最新情報などを発信しています。イベントや施設への出店依頼も受けています。問い合わせはインスタのアカウント、ゴチソイのウェブサイトからも可能です。