「汚い」「臭う」などマイナスイメージが強いゴミ集積所を明るい場所に一変させる試みが、宮崎県延岡市で進んでいる。公募で選ばれた福岡市の専門学校生・坪根望実さんのアイデア「扉」。路上に置かれた玄関のようなドアを開けるとゴミ集積所になるという意外性、様々なデザインが考えられる可能性が評価された。今年度中に第1号が設置される予定で、計画した企業などは全国に取り組みを発信する考えだ。

「扉」を開けてビックリ⁉

 「ゴミの重さを競えるシーソー形の集積所」「ゴミ捨てのついでに運動できるよう、集積所にペダルやハンドルを付ける」――。8月下旬、「ゴミコンペティション」と名付けられた審査会がインターネットで生中継され、全国から集まった独創的なゴミ捨て場のアイデアを巡って真剣な議論が交わされた。

 審査会を開催したのは、旭化成延岡支社で社会貢献を担う「地域活性化推進グループ」と、市街地のゴミ置き場に問題意識を持っていた延岡市の建築家・山根俊輔さん。SNSなどを通じて「自宅前に設置してほしいと思えるような集積所」の案を募ったところ、1か月で計115件が寄せられ、スイス在住の日本人からの応募もあったという。

 延岡市職員や大学教員らによる審査で、最優秀に選ばれたのが坪根さんの「扉」。高さ約2メートルの箱に付いた扉を開けると、収納されている網がアコーディオン状に広がり、ゴミ集積所に早変わりする構造だ。

街を歩く楽しさ広がる

 坪根さんは「誰にでも使い方が分かりやすく、扉を閉めれば集積所に見えない点がポイント」とし、審査員からは「市内に様々な扉があれば、探して歩く楽しさが街の魅力になる」などと評価された。

 坪根さんはコンペの応募は初めてだったといい、「選ばれて驚いた。アイデアが実現して市内の様々な場所に置かれ、延岡のモニュメントのようになればうれしい」と喜んだ。主催者からは賞品として、旭化成の食品保存用袋「ジップロック」を再利用して作ったエプロンが贈られた。

地域の課題をみんなで解決

 「扉」は同支社が費用を負担して製作し、まず市内の山下新天街に設置する予定。集積所を管理する西沢清子さんは「全国各地の人が延岡のことを一緒に考えてくれてうれしい。街中にいろんな『扉』が増えていけば面白い」と歓迎している。

 設置後は、住民らの反応などを踏まえて増設を検討する。すべての応募作をウェブで公開しており、ゴミ置き場の問題に悩む他の自治体に参考にしてもらう考えだ。

 コロナ禍による巣ごもり消費で、家庭ゴミの排出量が増えている自治体もある。同支社は「地域が明るくなる活動として全国に広がれば」と期待し、延岡市クリーンセンターの甲斐祐逸所長も「地域の課題であっても、SNSで募ると予想以上の応募があり、大きな発見もあった。今後の課題解決の参考にしたい」と話している。