例年に比べ、長野県内各地でクマの目撃情報が増えています。
野生鳥獣による被害を未然に防ごうと、飯山市が始めた取り組みに密着しました。


「じゃあ現場お願いします」

6月28日。

飯山市の職員3人が、ある通報を受けて、市役所から現場に向かいます。

向かった先は、山ぎわにある畑…。

「これ、かな?」
「これですね…」

耕された畑に、くっきり残っていたのは、クマの足跡。

足跡は、山側から畑を通過して、林の方に向かっていました。

大きさは、20センチほど。

成獣のツキノワグマのものとみられます。

スマートフォンで足跡の写真を撮る飯山市農林課の藤井浩之(ふじいひろゆき)さん。

「じゃ、これ投稿します」

藤井さんが投稿したのは、鳥獣被害予防のために開発されたアプリ「けものおと」です。

クマやイノシシなどの野生鳥獣の目撃情報や、足跡などの手がかりについて、場所や時間、写真とともに、アプリに投稿すると、情報が地図に落とし込まれます。

頻度が高い場所は赤く表示され、クマなどが出やすい箇所が一目で分かるように。

アプリは市のホームページから無料で誰でもダウンロード可能!

地域の住民だけでなく、観光客も野生鳥獣の出没情報を共有することができます。

市では、今年3月からこのアプリの運用を開始。

3月は延べ2400件あまりだった閲覧回数は、6月末で延べ1万6000件に増えています。

現在、写真や情報の投稿は、市役所の職員のみに限っていて、市民から通報のあった箇所を確認してから情報をあげています。

この日向かった2箇所目も、山と畑の境い目。

「ここが折れていて、ここに爪あとがあるんですよ」

折れた桑の木の根元には、クマの爪あともありました。

すぐに写真におさめて、アプリに投稿。

細かな情報が、すぐにアプリ上で共有されるほか、位置情報を設定すれば、現在地周辺の出没情報を取得し、近づいた際にアラートが鳴るシステムも…。

飯山市耕地農林課 春日直樹課長:
「市民の方により細かい情報を提供できる、いつでも確認できるというところが、市民の皆さんに安心を提供する部分にもなっているかなと。写真とかも投稿できますので、実際クマの足跡とか見たことない人も、あこれがクマなんだなと分かる所もこのアプリのいいところかなと思います」

情報が蓄積されれば、出没の傾向やクマなどを呼び寄せる誘因物の特定にも繋がるため、クマ被害の未然防止に役立つとしています。

飯山市耕地農林課 春日直樹課長:
「目撃情報があれば、なるべく早く(アプリに)入れて、皆さんにお知らせしたいと思いますので、市民の皆さんにもより広めて、ぜひこのアプリを皆さんに使っていただいて、注意を促していきたいと思っています」

市民から寄せられた情報が、市民を守る情報に。

最新アプリを使った取り組みに期待が寄せられています。