4月13日夜、静岡県内の東名高速で起きた落下物への連続接触事故。けが人こそ出なかったものの、被害車両の全容がわからないほど、深刻な事故だったことが取材で明らかになってきました。夜間の高速道路で、落下物に遭遇した場合、わたしたちドライバーは一体どう対処すればいいのでしょうか。          

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写真に写った道路の真ん中に落ちている物体。よくみると、網目状になっています。落下物は、これ1つだけではありませんでした。

<社会部・中西結香記者>「沼津市足高の東名高速道路下り線です。この道路上に、フェンスのようなものが複数落ちていたということです」

13日午後9時ごろ、東名高速下り線・静岡県沼津市の沼津ICから愛鷹PAの間に大量の落下物がありました。その正体は、金属製のフェンス。警察によると、この区間に約20枚散らばっていました。今回の事故で、少なくとも27台の車が落下物に接触したことが確認されています。

当時、現場を走っていた人に取材すると、その事故の深刻さが明らかになってきました。

「これがオートバイだったら…」

「あと1キロぐらいで愛鷹PAのあたりだった。落下物に気づいたのは、接触する1秒前ぐらい。避けようにもほかの事故を招きかねないので、踏むしかなかった。踏んだ衝撃はでこぼこ道を越えるぐらいだったが、音が『ガシャンガシャン』とひどかった」

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「いきなりグレーの落下物が走行車線、追い越し車線にあった。その後も左右に点在していたので、4〜5か所かわしながら、愛鷹PAに停車した。駐車場に入るとパンクしたり、オイルが漏れている車が何台もいて、まさに修羅場だった」

「沼津インターを通過してまもなくすると、路肩に2〜3台の車が止まっていた。『故障か、事故か』と思っていたら、ライトに白く光る板のようなものが散乱していて、避けられるような状態ではなかった。愛鷹PAで点検後、富士ICまでの間にも落下物が散乱していた」

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この事故で、けがをした人はいませんでしたが、落下物に接触したものの、そのまま走り去った車もあり、「被害車両は20数台と報道で見たが、100台は下らないのではないか」(被害者)といった声が挙がるなど、被害の全容は明らかになっていません。また、別の被害者は「これがオートバイだったら、最悪のことも考えられた」とも指摘します。

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こうした高速道路上への落下物は、後を絶ちません。NEXCO中日本によりますと、同社管内で2022年度に処理した落下物は、約5万6,700件。その内訳は、プラスチックや布類などが一番多く、近年はタイヤや自動車付属品などが増えているといいます。

今回の“連続接触事故”は夜間に発生しました。

「見えないと思ったほうがいい」

<社会部・中西結香記者>「現場付近には、街灯が少なく、午後9時頃は道路の先が見えづらかったと考えられます」

JAF日本自動車連盟が行ったヘッドライトをロービームにして、夜間の道路を走ったときの見え方を比較した実験の映像を見ると、夜は昼間に比べて、遠くが見えづらく、時速100キロで走っていた場合、落下物に気づいてブレーキを踏んでも間に合わないことがわかります。

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<JAF静岡支部 事業課事業係 永谷和俊係長> 「夜間は、周りにライトや明るいものがない場合、落下物の色や大きさによっても違うが、見えないと思ってもらったほうがいい」

では、衝突を回避する策はあるのでしょうか。

<JAF静岡支部 事業課事業係 永谷和俊係長>「1番主に考えてほしいのは、車間距離をしっかりあけるということ。前の車が(落下物を見つけて)進路変更したとして、目の前に落下物があったら対応できません」

また、JAFでは、対向車線に車がない場合は、ハイビームにして、走行するよう呼びかけています。

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18日夜、長野県塩尻市の長野道で起きたトラック事故では、積み荷のペットボトルなどが道路に散乱し、約5時間にわたって通行止めになるなど、大きな影響を与えました。いつ、どこで遭遇してもおかしくない道路への落下物。わたしたちは日頃から安全な運転を心がけることが、いざというとき、被害を最小限に抑えることにつながります。