静岡県の旧清水市で4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」の再審=やり直しの裁判をめぐる動きです。次回の公判で被害者遺族が書面で行う意見陳述について弁護団が反対する意見書を裁判所に提出しました。

58年前、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巖さんをめぐっては、2023年10月から裁判のやり直しが行われています。

結審する見通しの5月22日の公判では、事件の被害者遺族が書面で意見陳述を行うとみられています。

弁護団は5月9日の会見で、意見陳述に反対する意見書を裁判所に提出したことを明らかにしました。

<袴田事件弁護団 小川秀世弁護士>
「再審の中で、通常審と同じように遺族の方の被害者の感情、心情を全面に出そうというのはちょっと、方向としてはおかしいんじゃないかと思っている」

弁護団は意見書で、今回の遺族が法律上の被害者等に含まれないことや、再審は被告人の利益のための制度であり「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見した」と認められた後の手続きで意見陳述を行うのはふさわしくないなどと主張しています。