世界78か国の森や海で、調査や撮影を続けてきた海洋ジャーナリストが静岡県富士宮市にいます。富士山の森を守ることが海の豊かさにつながっていると活動を続けています。

<永田雅一さん>
「この辺たくさんコケがあるでしょ。富士山にはだいたい400種類ぐらいコケがあるんですよ。コケは自分の体重の20倍ぐらいの水をためることができる。緑のダムと言われているんですよ」

富士山の森を案内しているのは、富士宮市に住む永田雅一さん、70歳です。永田さんは海洋ジャーナリストです。

<永田雅一さん>
「これはパラオで撮影したギンガメアジの大群です」

太平洋に浮かぶ島々の国、パラオをはじめとする世界78カ国の森や海で、生物の調査や撮影をしてきた永田さん。15年前に、ふるさとの富士宮市に戻り富士山の森を案内するガイドをしています。

<永田雅一さん>
「富士山の森、特に広葉樹の森は、ほとんど手つかずで残っています。そこに作り出す栄養が地中にしみこんで、やがて湧き水となって湧き出し駿河湾に注いでいるという。森の中にいても海の豊かさを感じることができるというのを人々に伝えたいなと思っています」

そこで永田さんが行っているのが、富士山の森で、森と海との関係や人々との関わりなどを伝えるトレッキングです。

<永田雅一さん>
「この木はとても重要な木で、シナの木(科木)と言います。木の皮はものすごく丈夫で、漁師はこれを編んでロープにして船のもやいに使っていた」

<永田雅一さん>
「これ何だかわかりますよね」
<参加者>
「アイス」

<永田雅一さん>
「アイスの棒。アイスの棒は、どうして木なんでしょう?」
「木は、熱伝導率が低いから。使い方によって、自然のものはプラスチックよりもはるかに優れているものが、この森の中にはたくさんあるんです」

他にも、この森で「マザーツリー」と呼ばれ、ほかの木を助ける役目をしているという樹齢400年のブナの木や、これだけ自生しているのは珍しいという和紙の原料となるミツマタの木など、富士山の森が育む手つかずの自然を散策していきました。

<永田雅一さん>
「世界中の海と森を見てきたけれども、陸上に豊かな森があるところは、必ず海も豊です。開発されて木がなくなってしまうと海も疲弊してしまう。だから森が大切なんですね」

<参加者>
「森のことも全然知らないし、海のこともあまりよく知らないんですけど、そうやってつながっていってるっていうことが本当に、だから両方大事にしていかなければいけないことがたくさんあるんだなと思いました」

<参加者>
「ゴミが落ちていたら拾うとか、自然由来のプラスチックはなるべく避けて、紙ストローとか、小さなことから始めていって、どんどんSDGsを身近に感じさせるように広めていくっていうのが一番できそうかなって思います」

<永田雅一さん>
「自分には何ができるかというヒントがいっぱい隠されていると思うんですね。歩いてもらうだけで、そういう知識を持って帰って、他の人にも伝えてあげて、それが大きく広がってSDGsにもつながればいいなと思っています」