災害時、小さな子どもを持つ家庭や妊婦にとって、特に重要なのが「食事」の備えです。電気やガスなどのインフラが止まった状態で、子どもの食事をどのように確保すればいいのでしょうか?

2024年1月に発生した能登半島地震。現在も多くの人が、避難所での生活を余儀なくされています。その避難所で問題になっているのが、小さな子どもを持つ家庭や妊婦に対する備えです。

<神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科 吉田穂波教授>
「(避難所では)成人の男性、女性、高齢者のための備えはあるけど、赤ちゃん連れ、子ども連れ、妊婦の備え、何を欲しているかというニーズが上手く組込まれた避難所運営は難しい」

備えが十分ではない状態で避難生活をする場合、大きな問題が「食」です。

静岡県焼津市に住む向坂智子さんです。管理栄養士と防災士の資格を持ち、子どもを持つ家庭などに防災時の離乳食の作り方を教えています。

今回、自宅で避難生活を送る時に簡単にできる「蒸し野菜」と「ご飯」を作ってもらいました。はじめに、野菜を一口大の大きさに切ります。

<管理栄養士・防災士 向坂智子さん>
「グラグラしていると手をけがしやすいので、まず安定した形にします。災害時は、特に余震があって揺れる可能性があるので、グラグラしない形にしてください」

<社会部 山本太朗記者>
「皮もそのままでいいんですね」

<管理栄養士・防災士 向坂智子さん>
「災害時、ゴミを捨てることがなかなかできないので、できるだけ皮も食べられる場合は使っていきます」

用意するのは「災害救助用炊飯袋」です。

<管理栄養士・防災士 向坂智子さん>
「高密度ポリエチレンという素材でできていて、熱に強く、ご飯が炊けます」

「災害救助用炊飯袋」はお米を研がずに炊くことができるので、水の節約にもなります。

今回は、お米0.5合、2人分を炊飯袋に入れます。水は、小さな子どもも食べるので少し多めに、コップ半分ほど注ぎます。(※100mlから120ml)

口を縛る時には、なるべく空気を入れないように注意します。

<社会部 山本太朗記者>
「これにお米、野菜を入れて、カセットコンロの鍋にそのまま入れて、蒸し野菜とご飯が炊けるんですね」

<管理栄養士・防災士 向坂智子さん>
「火加減は、中火から強火の沸騰している状態を保って下さい。20〜30分で炊き上がります」

30分経ちました。

<社会部 山本太朗記者>
「しっかり炊けてますね」

「野菜もちょっとずつ入れていきます。柔らかいですね」

<管理栄養士・防災士 向坂智子さん>
「袋がひとつひとつ小さな鍋の代わりになって、蒸し煮になります」

野菜を食べてみると…。

<社会部 山本太朗記者>
「いただきます。美味しいですね。大人が食べても美味しいです」

<管理栄養士・防災士 向坂智子さん>
「ママと一緒に食べると(子どもも)嬉しいと思います」

<社会部 山本太朗記者>
「お母さんも食べられるし、子どもも食べられるしというところもある」

簡単に、子どもも大人も食べられる災害時の食事ができました。

小さな子どもの食事の時に、特に気を付けたいのが、アレルギーの問題です。

<管理栄養士・防災士 向坂智子さん>
「これは、アレルギービブスという商品です。ここに食べられない食材、アレルゲンを書いていただきます」

向坂さんは、アレルギーを持つ子どもと避難所を利用する場合、周囲の人たちに知らせておくと安心だと言います。

災害時は、子どもの食事のケアも重要ですが、吉田教授によりますと、親の不安な気持ちや心の余裕の無さが子どものストレスに繋がるそうです。万が一の時に、親が心に余裕を持てるように事前の準備が大切です。