静岡県内は2024年7月16日も大雨に見舞われましたが、雨の時期に発生しやすいのが道路の冠水です。特に、地下道などの「アンダーパス」では車が水没する危険があります。

そうした事故を防ぐために今、注目されているのが富士市で開発された「エアー遮断機」です。

6月18日の記録的な大雨。静岡県内各地で、道路の冠水が相次ぎました。

<金原一隆記者>
「ご覧のように道路が冠水してしまって、車を通すことができません」

<車が浸水した人>
Q.車に水入っちゃったんですか?
「線路のガード下に入っちゃったんですよ。この辺まで水来てましたね。もう走り抜けるしかないと思って」

冠水した道路を車で走る実験です。水深60センチまで冠水した道路を走ると31mの地点で停止してしまいました。エンジンに水が入って車は立ち往生してしまいます。

そうした事故を防ぐために富士市の施工技術総合研究所が開発したのが「エアー遮断機」です。

<坪内明美記者>
「どのように作動するか見せていただけますか?お、箱が開きました!すごい!すごい速さで膨らむんですね、これで通行止めとなるわけですね」

<施工技術総合研究所 谷倉泉技師長>
「だいたい15秒から20秒くらいで(膨らみます)」

エアー遮断機は、冠水などの緊急時に水位センサーや遠隔操作により自動で3.5mのバルーンが膨らみ、道路を封鎖します。

これまで、冠水した場合は作業員が現場に行く必要がありましたが、エアー遮断機なら迅速かつ安全に封鎖できます。

<坪内明美記者>
「明るい色なので、すぐ目に入ってきますね」

<施工技術総合研究所 谷倉泉技師長>
「夜も視認性が良いので、数百m先でもよく分かります」

さらに、バルーンならではのメリットもあります。金属製の遮断機とは違い、車が当たっても傷つかず、人命救助などで緊急車両が通る場合は押して通行できます。

<施工技術総合研究所 谷倉泉技師長>
「車が増水したところに突っ込んで人命が失われている事例も沢山出てきているので、そうところに事前に遮断する装置があると安全が保てる」

<坪内明美記者>
「静岡市駿河区鎌田にあるアンダーパスです。新幹線をくぐっていまして、全長はおよそ300mあります」

1番深いところは約7mあります。

<静岡市道路保全課 小松正人課長補佐>
「鎌田のアンダーパスについている電光掲示板、水深が深いところに関しては壁面に深さが表示されています」

しかし、2022年9月の台風15号では電光掲示板で通行止めを表示していましたが、2台の車が進入して水没してしまいました。その事故を受け、2023年、エアー遮断機を設置しました。

<静岡市道路保全課 小松正人課長補佐>
「(電光掲示板は)やはり見えづらいということがあったかと思います。安全対策をより強化したような形になります」

県内には80か所ほどのアンダーパスがありますがエアー遮断機が設置されているのは16か所にとどまります。

<施工技術総合研究所 谷倉泉技師長>
「最近、集中豪雨も多くなっていますから、人命救助とか安全確保のためにいろんなところで使っていただき、役に立てばと思っています」

静岡市内の冠水が想定される場所を示したマップです。県や浜松市も冠水が想定される場所をホームページで公表しています。

冠水は水面からの深さが分かりにくく、車や歩行者が進入すると重大な事故につながる恐れがあります。通勤や通学で通る場所が冠水する可能性があるかどうかを事前に把握しておくと安心です。