初冬の駿河路で、ふるさとの誇りと思いの詰まったタスキをつなぐ「しずおか市町対抗駅伝」。2000年に「しずおか市町村対抗駅伝」として産声を上げた大会も、今回で23回目を迎えた。これまでに出場したランナー数はのべ1万1000人を超えた。その後、世界へと羽ばたいたアスリートも多く誕生した。

2022年11月27日、駅伝女子日本一を決めるクイーンズ駅伝 花の1区。初出場となった東京五輪1500m8位の田中希実選手(23)に大きな注目が集まる中、衝撃の走りを見せたのが、資生堂の木村友香選手(28)=静岡市出身=だった。

スタート直後から飛び出すと、4.5㎞付近で2位グループに13秒差、さらに6㎞付近では18秒差と突き放し、最終的には、2位田中選手に21秒差をつけ、トップでタスキを渡し、区間賞に輝いた木村選手。チームを16年ぶりの優勝に導く原動力となった。このレースをテレビで解説したシドニー五輪マラソン金メダルの高橋尚子さんが「MVPは木村さん」と名前を挙げるほどの快走だった。

木村選手の“衝撃的な走り”を、静岡県民はしずおか市町対抗駅伝という舞台で、何度も目の当たりにしている。静岡市静岡の一員として、初出場となった2006年の第7回大会、男子選手が多く走る2区、レース終盤で転倒するアクシデントに見舞われながらも市の部で区間4位の好走。十分すぎるインパクトを与えると、続く第8回、第9回と連続で区間賞を獲得。

そして、ハイライトとなったのが、第10回記念大会、静岡市静岡Aのメンバーとして出場した木村選手は9区、タスキを受けると爆発的な走りで一気に前の4人を抜き去り、区間新を叩き出し、チームの逆転優勝に貢献。このレースを解説した金哲彦さんも「中学生の走りではない」と絶賛した。

木村選手は自身の原点ともいえる、しずおか市町対抗駅伝について、以前こう語っている。

「市町対抗駅伝に出たことで、走るっておもしろい、楽しいと感じるようになった」

個人種目の多い陸上競技の中で、駅伝は数少ないチーム競技。タスキを受け取る順番もレース展開によってはバラバラだ。だからこそ。

「ベストの走りをすることで結果はついてくる。自分の走りにこだわりたい」

駿河路から世界へ、木村選手は、きょうも自分の走りにこだわり続ける。

※木村選手がこれまでの取材に対し、しずおか市町対抗駅伝への思いを語ったものを再構成したものです。