ナイフを入れた瞬間にわかる、その柔らかさ。今回のしずおか産は「富士山麓 潤いモッツァレラ」です。2022年度、静岡県が主催した加工食品のコンクールで最高金賞に輝いた、いま大注目のチーズなんです。
作るのは、静岡県富士宮市にある「七富チーズ工房」。2021年1月にオープン。いまでは、15種類のチーズを製造・販売しています。今回紹介するモッツァレラチーズに使う材料はなんと、牛乳だけ。富士宮市内の酪農家から仕入れたこだわりの牛乳です。
<七富チーズ工房 高木宏昭さん>
「コクを感じながら、でも余計な雑味がなくて、ストレートにミルクの甘さを感じられる牛乳」
低温殺菌した牛乳に乳酸菌などを加えると、「ホエー」という黄色い液体と「カード」と呼ばれる固形分に分離します。そのカードをお湯の中で練って作られるのが、モッツァレラチーズです。
<七富チーズ工房 高木宏昭さん>
「(美味しい水は)牛乳の味を邪魔しない。柔らかいジューシーなモッツァレラ作りにはおいしい水が必要」
チーズを練る中でお湯も一緒に揉み込んでいくため、美味しい富士宮市の水はチーズ作りに最適です。
<七富チーズ工房 高木宏昭さん>
「口に入れた瞬間に、ジュワ〜っとミルク感あふれて、すごくやわらかく、ジューシーなのがうちのモッツアレラの特徴」
値段は1つ450円。他のモッツァレラと比べても、手の届きやすい価格で販売しています。
高木さんが牛乳を仕入れている富士宮市の佐野牧場です。チーズ工房から徒歩1分。毎朝、搾りたての新鮮な牛乳を仕入れることができます。
<七富チーズ工房 高木宏昭さん>
「関東で何千軒もある牧場の中で、上位5軒のうち3軒が富士宮の酪農家が入賞するような、いい酪農家が多いので、ここ(富士宮)の牛乳でチーズを作りたいと思い、工房を作った」
高木さんは4年前まで、北海道でチーズ作りを学んでいました。全国各地を回る中で、富士宮の美味しい牛乳を使ったチーズがあまり作られていないことに気づき、富士宮に移住することを決めました。
<七富チーズ工房 高木宏昭さん>
「せっかく、いい牛乳が生産されているので、すごくもったいない。北海道で教えてもらった技術で、もっと多くの人に牛乳の可能性を感じてもらい、地元のおいしい牛乳を(チーズを通して)地元の人や飲食店にも使ってもらいたい」
高木さんの思いが実現し、今では多くの地元の飲食店が七冨チーズ工房のモッツァレラチーズを使っています。
<ヴェッキア ランテルナ 鈴木尚幸総料理長>
「七冨さんのチーズは、なめらかな口当たりやミルクの味わいがある。入れることで一つの料理をまとめてくれる、一つの調味料みたいな使い方もできるのが特徴」
こちらのお店では、以前は外国から輸入したチーズを使っていましたが、高木さんに出会い地元のチーズを使うことに決めました。
<ヴェッキア ランテルナ 鈴木尚幸総料理長>
「地元のおいしいもの、いいものを使って、そこでしか食べられない料理やそこでしか味わえない一皿を提供できるのは、すごく魅力のあることだと思う」
高木さんは、もっと多くの人に富士宮のチーズを食べてもらいたいと、2023年の秋、静岡市にも販売店をオープンします。
<七富チーズ工房 高木宏昭さん>
「チーズを食べた時に富士山や牛の風景をイメージしてもらえるような、本当にミルク感を感じてもらえるようなチーズを作りたいと思っている」