上海証券取引所の科創板への上場を目指している、上海微創電生理医療科技(688351/上海)が8月19日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。7060万株を発行予定で、公募価格は16.51元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2010年設立の民営企業で、16年に株式会社化した。電気生理学介入診療、アブレーション(焼灼)治療分野の医療機器研究開発、生産、販売を主業務とする。世界で数少ない心臓電気生理学設備とその消耗品をまとめて提供できるほか、中国で初めて三次元心臓電気生理設備・消耗品の提供を実現し、長きにわたる海外メーカーの独占状態を打破した。20年に中国で行われた三次元心臓電気生理手術における同社の設備使用割合は業界第3位、中国メーカー内ではトップとなっている。アブレーション設備分野では、高周波と冷凍によるアブレーション技術でブレイクスルーを果たしている。
 
 これまでに同社は三次元心臓電気生理学マッピングシステム、冷塩水灌流高周波アブレーションカテーテル、腎臓動脈高周波アブレーションカテーテル、圧力センサー磁気トラッキング灌流高周波アブレーションカテーテル、心臓冷凍アブレーションシステムの5製品について、中国の国家イノベーション医療機器特別承認手順によって承認を受け、発売している。2021年12月期の売上構成は、カテーテル製品が77.85%、設備製品が6.02%となっている。また、中国国内の31省・自治区・直轄市の病院700カ所のほか、フランス、イタリア、スペインなど22の国・地域にも製品を輸出している。売上の約9割は国内向け、約1割が海外向けだ。
 
 世界の医療機器・消耗品市場は年々拡大しており、市場規模は2015年の3710億米ドルから19年には4466億ドルに増え、24年には5892億ドルに達する見込みだ。その内訳は医療設備、消耗品がほぼ半々となっている。医療機器市場では画像設備、体外診療機器、心血管機器の割合が多く、19年にはこの3分野で全体の39%を占めている。また、中国の医療機器・消耗品市場規模は世界全体を上回るペースで拡大しており、15年の3080億元から19年には6235億元に達し、24年には1兆2995億元にまで増えると予測されている。中国を始めとする多くの国では人口の高齢化が進んでおり、同社が手掛ける心血管分野の医療機器およびその消耗品の需要は今後ますます高まるものと思われる。
 
 中国の心臓電気生理学機器の市場規模は2015年の14億8000万元から20年には51億5000万元へと拡大、その後成長に拍車がかかり22年には114億9000万元、24年には211億1000万元と、20〜24年の平均成長率が42.3%という急速な伸びを呈する見込みだ。
 
 同社は国産メーカーとして業界をリードする高い技術力を持っていること、中国国内および世界の22カ国・地域に販売ネットワークを持つこと、総経理をはじめマネジメント層に電気生理学設備に造詣の深い専門家を揃えるとともに、優れた研究開発人員を確保していること、国産ブランドのパイオニアとして高い認知度があることなどを強みとする一方で、国産化に成功したとは言え市場シェアの大部分は海外メーカーに占有されており、厳しい競争に晒されていること、競争力を高めシェアを拡大するための資金調達手段が限られていることがボトルネックとなってきた。
 
 また、開発中の製品について臨床試験が順調に進まず発売が遅れる、あるいは発売に至らない可能性があること、技術的なアップグレードや製品の世代交代が市場ニーズに追いつかない可能性があること、これまで非経常損益を差し引いた純損益が通期で黒字化できておらず、今後も赤字が続く可能性があることなどが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は1億9002万元(前期比34.50%増)、非経常損益を差し引いた親会社株主帰属の純損益は2962万元の赤字(前期比85.45%の損失増)。22年1〜6月期の売上高は1億2190万元(前年同期比34.53%増)、非経常損益を差し引いた親会社株主帰属の純損益は64万元の黒字(前年同期は828万元の赤字)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)