米国の消費者物価指数が予想を下振れたことで起きた11月10日の「逆CPIショック」により、ドル円相場は大きく方向転換。それまでドル買い一辺倒だった相場が、一転して円高に大きく振れる局面になっている。これまで続いてきた円安トレンドから円高トレンドへと大きく方向転換したのではないか……。CPI=消費者物価指数という経済指標ひとつで、大きく流れが変わった11月相場だったといっていいだろう。問題は、このトレンドが今後も続いていくかどうかだ。現在の円の買戻しの動きは今後も続くのか、それとも再び1ドル150円台を目指すのか……。外為オンライン・シニアアナリストの佐藤正和さんに12月相場の見通しを伺った。

――CPIショック以降、円高に振れていますが、いつまで続くのでしょうか?

 現在のドル円相場というのは、市場のセンチメントが大きく変わった結果であり、今後年末までに様々な景気指標が出て相場は大きく変動する可能性はありますが、再び1ドル=150円台を伺うような急激な円安には戻らないのではないでしょうか。

 たとえば、この12月2日に予定されている「米雇用統計」では、いつも為替相場に大きな影響を与えていますが、少々のサプライズがあったとしても、かつてのようなドル高円安にストレートに反映される可能性は少ないかもしれません。

 実際に、前回26万1000人の増加だった「非農業部門雇用者数」は、今回は20万人増と予想されており、この数字のいかんによっては再びドル高円安方向に振れる可能性はあると思います。ただ、20万人という数字も比較的大きな数字であり、予想外に大きく増えて景気の底堅さを示したとしても、以前のようにドルがどんどん買われる相場展開になる可能性は低いと考えられます。また、失業率も前回同様の3.7%と予想されています。

――原油価格の下落や中国の景気減速懸念が注目されていますが、為替相場への影響は?

 原油価格は世界的な景気後退懸念などから、現在1バレル=76ドル台にまで下落してきました。加えて、ベネズエラの石油生産をアメリカ政府が半年の期限付きと言う条件はあるものの、認める決定を下したことも、原油価格の下落に影響があるかもしれません。原油価格が下がれば日本の貿易赤字も減少することになり、円が売られる要素が減少することになります。

 一方、急激な金融引き締めでアメリカにリセッション(景気後退)懸念が出ており、現実味を帯びた指標が出て来れば、ドル売り圧力は増すことになります。加えて、最近では中国経済の減速懸念がクローズアップされており、「ゼロコロナ政策」をとり続ける中国政府に対して、中国国内では反政府運動が全土に拡大にしているという報道もあります。中国経済は難しい局面を迎えていると思われます。

 中国経済の減速は、米国や日本も含めた世界経済全体に影響を与えるために、米国の景気後退と合わせて、ドルが弱くなる可能性が出てきます。中国経済の行方にも注意が必要かもしれません。