モーニングスター <4765> は1月27日、2023年3月期第3四半期決算を発表した。売上高65.26億円(前年同期比8.9%増)、経常利益17.99億円(同2.9%増)の増収増益決算になった。11期連続の増収で6期連続で最高売上高を更新し、経常利益は14期連続増益で11期連続最高益更新になった。さらに、23年3月期では「モーニングスター」のブランドを返還することによる特別利益80億円を計上する予定であることに加え、米モーニングスター社の出資比率の引き下げと社名変更、および、グループ再編に伴う持ち株会社化について発表した。同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「2023年3月に創業25周年を迎え、この間に事業環境も大きく変化した。愛着のある『モーニングスター』のブランドを使えなくなることに一抹の寂しさはあるが、新しい社名の下で資産運用ビジネスをアジア地域等においてグローバルに展開する事業に取り組み、新たな成長と飛躍につなげていきたい」と語った。

 第3四半期決算は、米国の株式市場や債券市場が同時に下落するという厳しい環境の中にあったにもかかわらず、アセットマネジメント事業、ファイナンシャル・サービス事業の両事業分野において増収を確保した。これは、アセットマネジメント事業においては、インデックスファンドの残高が大きく伸びたことによって、運用する投資信託から得られる信託報酬額が伸び、また、アメリカの運用子会社であるCARRET社の収益も伸びたことが要因。また、ファイナンシャル・サービス事業では投資信託の販売時に活用するタブレット端末アプリである「Wealth Advisors」の採用社数と提供台数が伸びたことによる増収があった。朝倉氏は、「米国の100年の歴史の中で、2022年のように株価と債券価格が同時に2ケタマイナスになったようなことは一度もなかった。その点では2022年はリーマン・ショックを超えるほどに厳しい市場環境だったが、それを乗り越えて増収・増益を確保できたことは、事業として環境変化に強い部分を発揮できた」と評価した。

 一方、戦略的事業再編については、米モーニングスター(Morningstar.Inc.)に「モーニングスター」のブランドを返還することに伴って、商号を「モーニングスター株式会社」から、「SBIグローバルアセットマネジメント」に変更する。それとともに、現在は「モーニングスター株式会社」という商号の下で行っているファイナンシャル・サービス事業を会社分割の上で子会社のモーニングスター・アセット・マネジメントに承継した上で、モーニングスター・アセット・マネジメントを「ウエルスアドバイザー株式会社」に社名変更する。そして、社名変更した「SBIグローバルアセットマネジメント」は持株会社となって、その傘下に、「ウエルスアドバイザー」、「SBIアセットマネジメント」、米国の「CARRET」を置く。このうち、SBIアセットマネジメントは新生インベストメントマネジメントと合併する。

 そして、「モーニングスター」のブランド返還に伴う対価として、米モーニングスター社が約80億円を現在のモーニングスターに支払う。このブランド返還に伴って得る資金については、「その他の有価証券等を売却して2023年3月末には約150億円のキャッシュができる。国内外の運用会社の買収など、新しい環境に合わせて有効に活用する」(朝倉氏)とした。また、米モーニングスターは、現在22.12%を保有している現モーニングスターの株式の一部を売却して支払い代金の一部とし、その売却株式はTOB(公開買付)の形で現在の大株主であるSBIグローバルアセットマネジメント(SBIホールディングスの100%子会社:現在のモーニングスターの社名変更に伴い「SBIアセットマネジメントグループ」に社名変更)が取得する。TOB価格は現市場価格から5%ディスカウントした439円になる。この結果、SBIグローバルアセットマネジメントの持ち株比率は52.62%、米モーニングスターは10.98%になる。現モーニングスターは、社名変更の上で上場を継続する。

 朝倉氏は、「モーニングスター」のブランドを返還するとともに、大幅な事業再編を行うことを決断した背景について、「事業環境の大きな変化がある」と語った。「日本において資産所得倍増プランが計画され、2024年からはNISA制度が大幅に拡充されて『貯蓄から投資へ』ということが、いよいよ本格的に動き出す。資産運用ビジネスにとっては、大きな飛躍のチャンスだ。また、中国、インド、東南アジアなどにおいて資産運用ビジネスの隆盛が期待されるようになってきた。これまでは、米モーニングスターとの契約の関係で、日本以外への事業展開は非常に難しかった。かつ、投信評価会社としてのブランドであるため、暗号資産(NFT:非代替性トークンやセキュリティトークンなど)やFXなど様々な金融商品の情報を扱うにも制限があった。今後は幅広い金融情報を総合的に提供し、かつ、ウエルスアドバイザー業務の国際展開も可能になる。これを今後の新しい成長の機会としたい」と語った。

 なお、投信評価などの業務については実質的に国内のノウハウで運営できる体制になっており、モーニングスターとの連携がなくとも現状の業務を継続可能とした。そして、「モーニングスター」のブランドの特徴である「モーニングスターレーティング(最高位が★★★★★の5段階評価)」については、「ファンドレーティング」として「★」を使った評価を継続するとした。さらに、米モーニングスターはグローバルに拠点展開し、ESGレーティングなど独自のサービスも展開している。ブランド返還後も「米モーニングスター社とは友好関係を継続し、必要に応じて『モーニングスター』と連携したサービスを行うことも可能」(朝倉氏)とした。米モーニングスターは、日本国内に子会社としてイボットソン・アソシエイツ・ジャパンを有しており、今後も引き続き日本国内において「モーニングスター」のブランドを活かしたグローバルかつ独立した調査、レーティング、データ、ソフトウェア、インデックス等に関連したサービスや資産運用サービスを展開していく意向だという。(写真は、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏の決算発表の様子)