薪の値段が暴落するほど全国の城が一斉に取り壊される中、城を守ろう!と動いた人たちもいました。陸軍大佐の中村重遠(なかむらしげとお)は、日本の城が建築的・美術的に価値あるものだと考えた一人。
陸軍トップの山県有朋(やまがたありとも)に建白書を提出し、これが認められて永久保存決定・修理されたのが、姫路城と名古屋城(愛知県)です。彦根城(滋賀県)も、立ち寄った明治天皇に大隈重信が保存を奏上したことにより、勅命で保存が決定しました。
また、松本城(長野県)は、『信飛新聞』発刊者の民権運動家・市川量造(いちかわりょうぞう)が、有志から資金を集めて落札主から天守を借り受け、さらに県の協力も取り付けて天守で博覧会を開催。その収益で天守を買い戻し、取り壊しを回避したのです。
すべてを紹介しきれませんが、長く困難な道のりを経て、そこに立ち続けている現存12天守には、それぞれに違ったドラマがあります。現地を訪れた時は、ぜひそのドラマにも注目してみて下さい。きっと、その天守がより愛おしく感じられるはずです。