お城の解説本や小説はもちろん、マンガから映画まで、お城に関連するメディアを幅広くピックアップする「お城ライブラリー」。今回は、2020年9月30日に刊行された伊東潤氏の『もっこすの城 熊本築城始末』を紹介します。戦国最強の堅城として知られる熊本城を築いた城取りの生涯を描いた大作です。

震災復興への想いから生まれた 熊本城築城の物語
お城ファンにとって伊東潤氏は、第19回で紹介した『城を噛ませた男』(光文社)でも舞台になっているように、東国の戦国時代というイメージが強いかもしれない。しかし、「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞した『黒南風(くろはえ)の海』(PHP研究所)では、熊本城主・加藤清正に仕えた沙也可(佐屋嘉兵衛)や金宦を主人公とした物語を書いているように、伊東氏は熊本に深い思い入れをもってきた。本作の舞台が熊本に設定されたのは、地震の被害を受けた熊本の人たちを少しでも元気づけたいという想いを強くもっていたためだという。余談だが、『黒南風の海』の主人公の沙也可と金宦は、本作『もっこすの城 熊本築城始末』(以下『もっこすの城』)にも登場しているので、あわせて読んでみてほしい。

尚、伊東氏は今回の「もっこすの城」執筆・刊行にあたり、次のように熊本への想いを語ってくれた。

「本作はどんな苦難に突き当たろうと、
主人公たちはそれらを乗り越え、
熊本城を完成させるというストーリーです。
本作が被災者の皆さんの心に届けば、
作者としてこれ以上の喜びはありません。
皆さんの愛する熊本城の復興を心から祈念しています」