お城のガイドや解説本はもちろん、小説から写真集まで、お城に関連する書籍を幅広くピックアップする「お城ライブラリー」。今回は、星亮一著『会津落城』をご紹介します。多くの悲劇を残した幕末最大の籠城戦の真実に迫る一冊です。

会津若松城はなぜ悲劇の舞台となったのか
幕末最後の戦いである戊辰戦争のさなか、会津若松城(福島県)において勃発した籠城戦は1か月にも及んだ。新政府軍との圧倒的な兵力の差を前にひと月を耐え抜いた城の堅牢さは確かなものだったが、それがかえって悲惨な戦いを長引かせてしまったともいえる。会津藩はなぜ籠城へと至ったのか、なぜ堅牢な城を守りきれずに敗北したのか。その真実を探るのが本書『会津落城 戊辰戦争最大の悲劇』だ。

仙台出身の著者、星亮一は『敗者の維新史』(中央公論社)『白虎隊と会津武士道』(平凡社)など、会津の歴史を語った著書を多く手がけている。しかし本書では、会津戦争がともすれば義に殉じた美談として語られがちな風潮を否定し、会津藩側の問題点を辛口で指摘しつつ、一体何が起きていたのかを紐解いていく。

「従来、会津戦争は、白虎隊や婦女子の壮絶な殉国が賛美され、会津武士道の精華を遺憾なく発揮したものと称えられた」。しかし、それは決して真実ではないと著者はあとがきで語る。新政府軍からの執拗な仕返しともいえるこの戦いを「近代日本の負の遺産」であると言い切りつつも、敗北の原因については会津側が「(奥羽越列藩)同盟が成った時点で、勝てると判断し、戦争に対する取り組み方に、革命的な発想が見られなかった」ことが大きな理由であるとしている。近代的軍備を備えた新政府軍との戦いにあたり、旧態依然とした軍備や作戦に甘んじ、近代戦争を熟知した戦略家や参謀も用意できなかったことが問題だったというのだ。