いくら堅固なつくりの城であっても、守り手となる人間に備えがなければ耐えきれない。判断ミスと対応の遅れからいくつもの関門を突破され、城の近くまで攻め込まれたときにはなすすべがなかった。城内には戦力となる人手が足りず、老人や少年、女性まで一丸となって抵抗を続けたが、それだけ限界の状態で持ちこたえていたということである。

城に立てこもった者、城下に取り残された者、そして戦に巻き込まれた領民たちなど、過酷な状況の中で懸命に戦った人々のエピソードは様々だ。しかしいずれも凄惨な状況であり、望まれざる悲劇的な事件であったことに違いはない。会津の地を訪れると、会津戦争は決してただの美談ではなく、忘れてはいけない悲惨な事件として語られている。今でも「殿」として親しまれ敬愛されている会津松平家にとっても、領地を戦火に巻き込んだ事実は重く受け止めるべき過去であるようだ。

本書では、次第に北へと追い詰められていく会津藩と旧幕府軍の様子を、時系列に沿って追いかける構成となっており、戊辰戦争の舞台となった各地の城も登場する。新選組の土方歳三が先鋒隊を率いて戦った宇都宮城(栃木県)の戦いや、激戦の舞台となった白河小峰城(福島県)、二本松城(福島県)の顛末などが、転戦の中での状況と合わせて触れられている。それぞれの城を訪れる前に読むことで、より思いを馳せることができるだろう。