初心者向けにお城の歴史・構造・鑑賞方法を、ゼロからわかりやすく解説する城びとの連載「超入門! お城セミナー」。鎌倉を舞台にした大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が2022年に放送されました。その鎌倉は、ときに「鎌倉城」と呼ばれることもある要害の地。鎌倉が「お城」ってどういうことなのでしょうか?

鎌倉が攻めにくく守りやすい理由とは?
NHK大河ドラマ『青天を衝け』が好評のうちに大団円を迎え、2022年1月からは『鎌倉殿の13人』がはじまりました。執権・北条義時を主人公にした本作は、源平合戦が起こった平安時代末期から鎌倉時代前期が舞台。脚本は、『新選組!』『真田丸』といった過去の大河作品も評判を集めた三谷幸喜氏です。期待が持てますね!

ドラマの主な舞台となるのが、源頼朝が幕府を開いた鎌倉です。関東を代表する観光地として知られており、訪れたことがある人も多いでしょう。若宮大路をまっすぐ歩いて鶴岡八幡宮を詣で、小町通りでお団子なんかをほおばってから北鎌倉や鎌倉大仏、銭洗弁財天まで足を伸ばしてみるなんて、なかなか素敵な1日観光コースです。

そんな感じで鎌倉散策を楽しんでいるとき、「なんて山がちな街なんだろう」と感じたことがある人もいることでしょう。どの名所へ行くにも結構アップダウンがあり、坂道が多いのが鎌倉歩きの特徴。散策中に周囲を見渡すと山や丘。トンネルをくぐって次の目的地まで行くことも少なくありません。

そう、鎌倉は周囲を山に囲まれた土地なのです。正確に言うと、南方向は太平洋と由比ヶ浜に面しており、ほかの三方は丘陵に囲まれています。鉄道や車道が整備されていない頃には、鎌倉に入ろうと思うと丘を越えるか、舟で海を渡るしかありませんでした。こうした地理的特徴のため、軍勢が鎌倉を攻めるのはとても厄介であり、逆に鎌倉側から見れば守りやすいということになります。自然地形による要害の地なんですね。それが「鎌倉城」と呼ばれるゆえんです。