イオンの連結子会社であるミニストップが窮地に陥っている。2024年2月期は6億円の営業損失となり、6期連続の営業赤字となった。赤字幅は縮小しているものの、コンビニの生命線とも言える全店平均日販(1店舗当たりの1日の平均売上)は伸び悩みが鮮明。立て直しは容易ではない。コンビニとファーストフードを融合するコンボ戦略を掲げているが、消費者とのズレが目立っている印象を受ける。
 

今期の営業利益15億円は現実的な数字か?

ミニストップの2024年2月期の売上高に当たる営業総収入は、前期比2.7%減の790億円だった。国内においては、2024年2月期に10店舗を新規出店しているものの、61店舗もの店舗を閉鎖した。

2023年2月期は58店舗、2022年2月期は48店舗の退店を行っている。年間50〜60店舗を閉鎖しており、2021年2月期に2000店舗を切ってからは、1800台まで減った。

ミニストップは2023年2月期に収益認識を変更しており、見かけ上の売上高が大きく縮小している。そうした中で6期連続の営業赤字というのは深刻そのものだ。

経済産業省によると、2023年のコンビニの市場規模は前年比4.4%増の12兆7300億円だった(「商業動態統計調査」)。コロナの収束によって外出頻度が高まり、外国人観光客の数も増えている。需要は拡大しているのだ。

かつて業績不振に悩まされ、6期連続の営業赤字だったポプラも2023年2月期に黒字転換を果たし、2024年2月期の営業利益は前期の7.3倍となる4億円に跳ね上がった。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3強があるとはいえ、ミニストップが取り残されている感は否めない。

2024年2月期は期首に9億円の営業利益を予想していたが、ふたを開ければ6億円の赤字だった。今期(2025年2月期)は15億円もの営業黒字を見込んでいる。

ミニストップの強みは本当にアイスクリームにあるのか? 

ミニストップの業績予想において、達成のカギを握っているのが日販だ。2025年2月期は44万8000円を計画している。これは2024年2月期を6.4%上回る高い目標である。

なお、2024年3月から5月までの全店の平均日販は41万5000円。前年同期間を0.8%下回っている。四半期は目標どころか、前年の数字にも達していないのだ。

ミニストップの2024年2月期における全店の日販は42万1000だったが、これは前年を1.9%上回るものだった。経済産業省の調査による2023年の市場の拡大ペースは4.4%。
セブンイレブンの日販は69万1000円で前期比3.1%の増加だった。ミニストップの乖離幅は大きい。

セブンイレブンは2期連続3%のペースで増加しているが、ミニストップは横ばいが続いている。今期の日販が前期の6.4%増という目標は高過ぎるのではないだろうか。ミニストップは競合他社との差別化ポイントに目を向けすぎるあまり、消費者を置き去りにしている印象を受ける。

まず、ミニストップと聞いて何を思い浮かべるだろうか。公式ページのトップにも表示されているとおり、店内で作るアイスクリームや独自デザート「ハロハロ」を想起する人が多いはずだ。2023年にもソフトクリームのテレビCMを放映していた。

2010年のやや古い調査だが、ネットリサーチのインターワイヤードによると、各コンビニブランドの中でデザート類が好きだとの回答のトップはミニストップで、6割近くを占めている。他のコンビニは5割程度だ(「『コンビニエンスストアの利用』に関するアンケート」)。

ただし、デザート類が充実しているという消費者の認知は獲得しているものの、数字がついてこない。

2023年は記録的な猛暑が続き、東京では64日間連続の真夏日となった。これは2004年の40日を超えて過去最長を記録している。

そのため、2023年はアイスクリームや氷菓が爆発的に売れた。日本アイスクリーム協会によると、2023年のアイスクリーム類の販売額は6082億円。前年の1割増である(「販売実績概要(2023年度)」)。

しかし、見てきた通り、ミニストップの2024年2月期の全店平均日販は前期比1.9%の増加に留まっていた。アイスクリーム販売増の大波にも乗ることができていないのだ。

ファーストフードの強化は顧客離れを引き起こす要因にも

ミニストップは、アイスクリームやハロハロの注文に対応するため、オペレーションが複雑化している。競合よりもレジの待ち時間が長くなりがちだという課題を抱えているのだ。

しかも、ミニストップが販売する「手作りおにぎり」は店内で炊いた米を使い、「手作り弁当」は店内調理を行っている。スタッフへの負荷は高まるばかりだ。

ミニストップが立て直し戦略の主軸に置いているのが、「Newコンボストア」の強化だ。これはコンビニとファーストフードの中間に当たる店舗の開発で、将来的にはハンバーガーなどのファーストフードメニューを強化する計画だ。すでにモバイルオーダーも導入している。オペレーションはますます複雑化するというわけだ。

差別化という観点だとこの戦略は納得ができるが、コンビニが解決している顧客の課題に立ち返ると疑問が残る。消費者がコンビニを選ぶ理由は家や職場、学校に近いからというものが圧倒的で、これは何年も変化していない。

消費者は必要なものを手に入れるために近くのコンビニに足を向けるのであって、わざわざ特定の商品を買うために立ち寄るわけではないのだ。

ファーストフードを強化すれば待ち時間も増え、顧客がストレスを感じることにもなりかねない。

シチズンはコンビニのレジの待ち時間でストレスを感じる時間を調査している(「ビジネスパーソンの 「待ち時間」 意識調査」)。

それによると、3分が最も高く3割近くを占める。ファーストフードは5分超で4割を超える。つまり、ファーストフードとコンビニでは待ち時間に対する顧客のスタンスが変わってくるのだ。ファーストフード化することによって、リピーターを逃がすことにもなりかねない。

「まいばすけっと」が脅かすミニストップの地位

ミニストップはイオンが54.1%の株式を保有する連結子会社だ。そのため、イオンのプライベートブランド(PB)である「トップバリュ」の販売チャネルの一つという位置づけが強い。

2021年2月期にはトップバリュの商品を1.5倍に引き上げる計画を立ち上げたほどだ。イオンにとってもPB商品を広く普及させるという意味では、2000店舗近いミニストップの存在は大きかったはずだ。

しかし、都市部の小型店で急速に店舗数が拡大しているイオン系列のブランドがある。「まいばすけっと」だ。2024年2月末時点で1119店舗となった。2014年時点では500店舗だった。10年で倍以上に拡大したのだ。

2024年2月期の売上高は前期比15.8%増の2578億円。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成長している。

コンビニは再編が激しい業界だ。2024年2月にKDDIがローソンに対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表。三菱商事と共同経営する形をとった。

2020年には伊藤忠商事がファミリーマートを買収している。ファミリーマートは2009年にam/pmを買収。2015年にサークルKサンクスと経営統合した。ローソンは2014年に成城石井を買収している。

ミニストップの業績不振が継続するようであれば、再編の波に飲まれる可能性も大いにあるだろう。

取材・文/不破聡
撮影/集英社オンライン編集部