プロゴルファーは調子のよし悪しに左右されず、なぜあれほどのナイスショットを出せるのか。「球を打たずにプロゴルファーになった選手権1位」と自称する堀川未来夢プロが教えてくれる、簡単練習法とは。

『日本一“練習しない”プロが教える「科学的」ゴルフ上達法30』(KADOKAWA)より、一部抜粋・再構成してお届けする。

練習場ではたくさん打つな!

「ゴルフが上達するためにはどんな練習をすればいいですか?」

よくこんな質問を受けることがあります。もちろん、練習をすることは大事ですが、自分の場合はボールを打つ練習よりも、ゴルフのことを考える時間のほうが長かったと思います。

学生時代、朝10時から夜8時まで10時間練習場にいたとしても、打つのはせいぜい200球くらい。一球打つごとにスイングをチェックしていたので、それほど球数を多く打つことはありませんでした。

練習場に行ったら「ボールをたくさん打ちたい」という気持ちはわかります。ただ、上達したいのであれば、何も考えずに打つことはあまりオススメできません。

ボールを打つとどうしても球筋が目的になってしまうため、スイングの良し悪しに関係なく、良いショットが出れば、それだけで満足してしまうからです。

何百球と打てば、そのうちの何球かはナイスショットが打てることもあると思います。

しかし、フックする要素とスライスする要素が合わさって、たまたま真っすぐに飛んだのだとしたら、それは偶然ナイスショットになっただけで、技術的にうまくなったわけではありません。

ゴルフは再現性がとても大事なスポーツなので、気にするのは球筋よりもスイングです。スイングが良くなれば、再現性が高まり、良いショットが出る確率も上がります。

ちなみに「再現性が大事」という言葉は、この後も繰り返し出てくることになります。それだけ大事なことなので、忘れないでください。

では、再現性を高めていくためにはどんなことを意識するのか?

どんなクラブのスイングにも生きてくる、自然な動き方チェック

自分のゴルフに対する基本的な考え方は、自然な動きをするということです。ゴルフのときだけ普段と違う動きをするのは難しいので、できるだけゴルフの中にも普段の生活と同じ動きを結びつけていきたいと考えています。日常の中にある動きを意識しながら、自分が毎日やっていることを紹介します。

まずは真っすぐ立つこと。猫背になったり、体が傾いたりすることなく、真っすぐに立ちます。つむじが何かに吊るされているような感じで立つと、自分の体重を土踏まずに感じられると思います。ここから足を腰幅に開いて、肩を地面と平行に動かします。

鏡を見ながら体が傾いていないかをチェックして、背骨を中心に体を回転させます。背骨を軸に真っすぐ回転することは、ナチュラルで誰にでもできることであり、ゴルフの動きとしても一番コアなものになります。

これは自分が中学、高校時代から、鏡を見ながら毎日やっていたことです。この体の使い方を覚えれば、どんなクラブのスイングにも生きてきます。

やり方のコツは鏡を見たときに、視線を動かしすぎないこと。

目線がブレると一緒に頭も一緒に動いてしまいます。鏡の前の自分の目を見る、あるいはどこか決めた一点を見て、頭を動かさないようにします。両手は肩に当てて、下半身は動かさずにゆっくり肩が地面と平行になるように動かしましょう。

クラブも練習場も必要なし、自然なテイクバックの形の作り方

肩を平行に動かすことができるようになったら、次のステップです。足を腰幅に開いた姿勢で真っすぐ立ち、骨盤から前傾します。そうすると、頭のてっぺんからお尻までが真っすぐになります。このとき、膝は少し曲がっていても構いません。

この姿勢から真っすぐ立ったときと同じように肩を平行に動かします。前傾した姿勢になると、平衡感覚が変わるため難しくなると思いますが、この動きを体に染みこませれば、ドライバーからパターまでどんなクラブを使うときにも対応できる動きができ上がります。

どのクラブでも背骨を中心に回転する動きは同じで、この振り子がパターは小さく、アプローチなら少し大きくなって、ドライバーになると、さらに大きくなるという違いです。振り幅は変わったとしても、体の動かし方自体は変わらないのです。

動かし方のポイントとしては、進行方向に対して後ろ側で動かすこと。ゴルフは基本的に押す動きはなく、全部が引く動きになるので、使うのは後ろ側になります。なので、前傾姿勢から体を動かすときは、左肩を前に出すよりは、後ろの右肩を背中で引く意識で動かすと良いでしょう。

この動きの練習にクラブは必要ないですし、練習場に行く必要もありません。家にいて一人でできる練習であり、効果的な練習でもあるので、うまくなりたいなら、毎日やるくらいでちょうどいいと思います。

自然な動きでトップができる

前傾して体を平行に動かすことができたら、また次のステップです。

今度はアドレスを構えて前傾したら、両腕を脱力してダラーンと下ろします。両腕を左右に振りながら、背中を軸に回転する動きを加えます。

そうすると、腕が自然とテイクバックの位置にいくので、ここで手を合わせて構えてください。クラブを持ったときのトップの位置になります。自然な動きから生まれる、これこそが自分の体にとっての「キング・オブ・トップ」です。

理想のトップの位置を説明するときに、「テイクバックをグーっと上げて、しっくりくるところから切り返す」みたいな表現がありますが、「しっくりくるところ」は、人によってさまざまです。

感覚的なものになってしまうと、調子に左右されるので、再現性は高くなりません。しかし、ここで紹介したように、自分で体を回して、揺すって、自然に右手を合わせて上げたところならば、いつでも同じことができます。

どのクラブを扱うときにも共通する動き、基礎となる体の使い方を覚えてゴルフ上達の最初の一歩にしましょう。

文/堀川 未来夢 サムネイル画像/shutterstock

『日本一“練習しない”プロが教える「科学的」ゴルフ上達法30』(KADOKAWA)

堀川 未来夢
『日本一“練習しない”プロが教える「科学的」ゴルフ上達法30』(KADOKAWA)
2022/11/4
1,540円(税込)
208ページ
ISBN: 978-4046056542

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